高校で佐々木麟太郎とチームメート

法大・熊谷が首位打者。32年ぶりの1年生でのタイトル奪取だった。写真は4安打を放った東大1回戦での三塁打[写真=矢野寿明]
【11月10日】東京六大学リーグ戦第9週
慶大2-1早大(慶大2勝)
第9週の早慶戦で慶大が連勝。早大と明大が8勝3敗2分け、勝ち点4で並び、優勝決定戦(11月12日)へともつれ込むことが決まった。プレーオフは個人成績には反映されないため、リーグ戦の全日程を終えたこの日時点で、タイトルが確定した。
法大・熊谷陸(1年・花巻東高)が打率.471(34打数16安打)で首位打者を獲得した。1年生での栄冠は、1992年春の早大・大森篤(天理高、卒業後は社会人・プリンスホテルでプレー)以来、32年ぶりの快挙である。
「1年生で首位打者というタイトルを取れたこと、とてもうれしいです。正直、びっくりしています。うれしさと驚きが、入り混ざっています。緊張とかもありましたが、チームのためにプレーした結果、首位打者という結果を取ることができて良かったです」
今秋は開幕カードの立大1回戦を二番・二塁で初先発を遂げ、リーグ戦初安打を放った。立大3回戦は九番、2カード目の早大1回戦は八番で先発出場。そして、3カード目の東大1回戦では、開幕以来の二番で起用された。
この試合で4安打をマークすると、翌日の2回戦でも4安打。さらに、3回戦でも3安打を記録した。3試合で11安打の固め打ち。慶大1回戦で規定打席に到達すると、同2回戦でも2本の二塁打を放った。
明大1回戦で4打席(3打数無安打)に立ち44打席。同2回戦は先発から外れた。この試合に出場しなくても規定打席に到達(14試合で規定打席は43)しているため、法大・
大島公一監督の配慮により、ベンチスタートとなった。この日の出番はなく、チームは明大に連敗し、今季の全日程を終えた。
試合後、大島監督は「申し訳ございません。いろいろな方から意見を聞いた上で、最後は私の判断で出場させませんでした」と頭を下げたが、賢明な選択だ。すでに優勝争いから脱落しており、タイトルを優先させるのは当然の考えである。この時点で2位には早大・石郷岡大成(3年・早実)が打率.393で続いていた。石郷岡が熊谷を上回るには慶大戦で8打数6安打以上が必要で、相当、厳しい条件だった。石郷岡は慶大との2試合で数字を落とし、熊谷のタイトルが確定した。
花巻東高では、昨夏の甲子園で8強進出。高校通算140本塁打の
佐々木麟太郎(スタン
フォード大)とチームメートだった。同級生の活躍にはいつも、刺激を受けている。
「『六大学野球で首位打者とったぞ!!』と報告したいです。年末、地元で集まる機会もあるため、そこでいろいろと語り合いたい」
低く強い打球を打つ意識
好調をキープできた要因は2つある。
まずは、練習量だ。
「夏の期間にたくさんバットを振り、低く強い打球を打つことを意識しました。その結果が、今回の首位打者につながった」
次に、合宿所で同部屋である先輩・
松下歩叶(3年・桐蔭学園高)の存在だ。松下は今夏、大学日本代表でプレーし、今秋は打率.352、5本塁打、13打点と大活躍。大学球界屈指の右スラッガーの助言には、説得力がある。
「試合中、守備ではポジショニングなどについて教えてくれたり(松下は三塁手、熊谷は二塁手)、打撃では『打とう、打とう』となっている時に、的確なアドバイスをしていただけました。頼もしい先輩です」
今秋、法大は6勝6敗2分け、勝ち点3の3位。2020年春を最後に優勝から遠ざかっており、熊谷は今後の抱負を語る。
「今回のタイトルで、自信になりました。来年、再来年に向けてこの冬、体づくりに努め、今後もチームに貢献したい。最後、4年生と優勝ができず、悔しかった。来年こそは必ずリーグ制覇して、日本一になります」
175センチ68キロ。まだ体の線は細いが、小力がある。大島監督から「逆方向に打て」との指示を忠実に守り、左打席で右肩を開かず、コンパクトなスイングで安打を量産した。名門・花巻東高で磨かれた自身のスタイルが確立されており、来春以降も飛躍が望めそうだ。
文=岡本朋祐