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FA残留の高橋周平に「他球団からの評価が高かった」理由は

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「三番・三塁」でスタートも


今季は開幕戦で3安打、2打点と好スタートを切った高橋周だったが……


 FA権行使の締め切りが最終日の11月13日を迎えた。石川柊太(ソフトバンク)、原口文仁(阪神)、木下拓哉(中日)、茂木栄五郎(楽天)、九里亜蓮(広島)らがFA権の行使を表明した一方で、争奪戦が予想された佐野恵太(DeNA)、大城卓三(巨人)、酒居知史(楽天)は残留を決断した。

 その中でFA権を行使するか、注目されていたのが高橋周平(中日)だったが残留を選択。レギュラーの座を確約されていなかった今年はバットのヘッドを投手側に傾けた新たな打撃フォームで、課題の内角をさばけるようになった。「三番・三塁」でスタメン出場した開幕のヤクルト戦(神宮)で2本の適時打を放つなど猛打賞2打点の好スタート。その後も攻守で奮闘して一時はチームが首位に立ったが、「右ふくらはぎの肉離れ」で4月17日に登録抹消。復帰に2カ月近くかかり、チームにとっても大きな痛手だった。

 7月に月間打率.325をマークしたが、8月以降は調子を落としてシーズン終盤はファーム暮らしに。井上一樹新監督が就任した来年もポジション争いをひっくり返さなければ、試合に出られない。三塁は福永裕基石川昂弥がいるため、高橋周はポジション争いで三番手の位置づけだ。

 一方で、違った見方も。中日を取材するスポーツ紙記者は、「今年も三塁のレギュラーが保証されていない状況でスタートしましたが、オープン戦で好成績を残して石川を押しのける形で三塁のスタメンをつかんだ。故障での長期離脱がなければ、打撃の状態が良かったので試合に出続けられたでしょう。三塁の守備能力はチームNo.1ですし、競争の中からはい上がってほしいです」と期待を込める。

2019年には打率.293、7本塁打


 かつては、スラッガーとして未来を嘱望されていた。東海大甲府高時代で通算71本塁打をマーク。「高校No.1スラッガー」と評され、ドラフト1位でオリックス、ヤクルト、中日の3球団が競合した。だが、一軍になかなか定着できない。広い本拠地で本塁打がなかなかでない状況を考えると、コンタクトを重視した打撃になっていく。打率.293、7本塁打をマークした2019年のシーズン中に、自身の打撃について週刊ベースボールのインタビューでこう語っていた。

「いや、コンパクトにするつもりはないんですけどね。ただ、ドラゴンズのチーム事情がそうさせている部分はあります。広いナゴヤドームで目いっぱい振ったとしても、そうそう確率よくホームランが出るわけではないので。三振してもいいからどんどん行けというなら話は別ですが、チームに何が求められるかと考えると、やはりヒットで出塁すること。特にこれまでは結果が出ないと試合にも出られない状況でしたから。1日1本。その延長で長打。その意識は今も変わりません」

獲得に動く価値がある選手


 翌20年は自己最高の打率.305をマークしたが、その後は打率が2割6分に届かない。長打が出ないことで怖さがなくなっていた。若手の台頭もあり存在感が薄くなる中で、今季は打撃フォームを改造したことで力強い打球を広角に飛ばすようになった。

 他球団のスコアラーは「今年の打撃成績は数字だけ見れば活躍したと言えませんが、昨年までと比べて打撃内容はガラッと変わっている。スイングが強くなり、速い球を引っ張れている。人的補償の必要がないCランクであれば、獲得に動く価値があった選手です」と高い評価を口にする。

 中日の屋台骨を支えてきた選手だけに、ファンも特別な感情を抱いているだろう。来年もドラゴンズブルーのユニフォームを着てグラウンドに立つ高橋周に大いに期待する。

写真=BBM

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