内角ストレートに体が反応

創価大の三番・立石は7回裏、試合を決定づける2ランを左翼席へ放った[写真=矢野寿明]
11月24日 神宮
【第55回記念明治神宮野球大会】
▼準決勝
創価大12-8環太平洋大
第55回記念明治神宮野球大会の5日目(11月24日)の第2試合、創価大(関東5連盟第1代表/東京新大学)が環太平洋大(中国・四国3連盟代表/中国地区)との準決勝を12対8で勝利し、初の決勝進出を決めた。
両校合計で25安打の乱打戦。試合後、環太平洋大・野村昭彦監督が「最後の2ランが利きました。重かったな」と、振り返ったのは、7回裏である。創価大は2点リードで迎えた一死三塁から三番・立石正広(3年・高川学園高)が、試合を決定づける2ランを、左翼スタンドへと豪快に放った。内角ストレートに体が反応した。
「自然と、くるっと回った感じです。インコースに対応することができました」
佛教大との1回戦では右翼スタンドへ放り込んでおり、広角に飛ばせることを証明した。立石はかねてからメジャー・リーグ志向が強く、神宮球場のネット裏にはMLBの複数球団が視察。注目度の高さを見せている。

今大会2本目。MLB球団のスカウトも熱視線を送る中で生還した[写真=矢野寿明]
なぜ、立石は大舞台で本塁打を打てるのか、2つの理由がある。
まずは、技術的な部分。
「自分の打ちたいポイントで、意識して振っています。以前はボールを引きつけていたんですが、刺されてファウルが多かったんです。最近は前でとらえること意識しており、ミスショットが少なくなりました」
もう一つは、メンタル的な部分である。
「準備を入念にしています。特に心の準備を大切にしています。一つのアウトを取るのも、雑にならないようにしている。今大会は調子が良いですが、自分でもビックリしています。いつか痛い目に遭うかもしれない……。油断すると、すぐに落ちるので、謙虚にいきたい」
「超真面目なんです」
創価大・佐藤康弘監督は潜在能力を明かす。
「打球速度がものすごいんです。大学入学後、体も大きくなって、(バットに当たる)音が違います。今年の夏は大学日本代表でプレーしましたが、結果が出ませんでした。レベルの高い環境でやればやるほど、うまくなる。まだまだ、これからの成長が期待されます」
常日頃の行動から、性格を言及した。
「すべてを一生懸命やる。真面目すぎるところがあります。全体メニュー後も室内で一人、バットを振っており、練習熱心です。(明治神宮大会出場を決める)横浜市長杯では、こんな出来事がありました。無死一、二塁の場面でヘッドコーチの高口(
高口隆行)が立石に『どうする?』と聞いたんです。打たせるつもりで確認したそうですが、立石はそこで一呼吸を置いたそうなんです。本来ならば『打ちます!!』と言うところで、チームのことを最優先に考えている。超真面目なんです」
年間タイトル4冠(春、秋のリーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)をかけた青学大との決勝である。「(創価大として)初の決勝進出はうれしいです。2位では終わりたくない。歴代最強というのが格好いいので、チームのための一打にこだわっていきたい」。
佐藤監督は「ウチの良い面、すべてを出さないと、勝負にならない」と警戒感を強め「あの辺が打ってくれないと」と、向かいで取材を受けていた立石をキーマンに指名。初の大学日本一へ、三番・三塁のバットに注目だ。
文=岡本朋祐