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佐々木朗希の抜けた穴は埋まる? ロッテに加入した「魔球の使い手」に期待が

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ZOZOマリンに強い右腕


FAでソフトバンクからロッテへ移籍した石川柊


 ロッテは今オフに佐々木朗希がポスティングシステムを利用し、メジャー挑戦を決断した。投げる球は直球、変化球いずれも球界屈指であることは間違いない。ただ、佐々木の抜けた穴を補って余りある活躍を予感させる新戦力が加わった。ソフトバンクからFA移籍した石川柊太だ。

 今オフにFA宣言するとロッテ、巨人ヤクルトオリックスが獲得レースに参戦。残留を要望していたソフトバンクを含めて5球団の争奪戦になった。セ・パ問わず評価が高かった理由の一つが、武器の多さだ。スリークオーターとサイドの中間から腕を振り抜き、常時145キロ前後の直球は手元で動くため打者は芯でとらえづらい。代名詞はパワーカーブだ。大きく力強く曲がる軌道は独特で、従来のカーブのイメージに当てはまらない。スライダーより曲がり幅が大きく、縦に落ちる。まさに魔球だ。好調時はこの球種を意のままに操り、カットボールとフォークを織り交ぜて打者を封じ込んでいた。

 ロッテの本拠地・ZOZOマリンと相性が良いことでも知られる。今季は3試合登板で2勝0敗、防御率0.00。12イニングで1点も奪われず、11三振を奪った。球場で吹き荒れる強風で制球に苦心する投手が多いが、石川は風を生かしてパワーカーブの威力がさらに増していた。

今季は復調の兆し


独特のパワーカーブを武器に先発ローテが稼働することが期待される


 2021年以降は2ケタ勝利をマークしていないが、今季は復調の兆しを見せていた。15試合登板で7勝2敗、防御率2.56。チーム事情で救援に回った時期があったが、夏場以降は先発ローテーションに定着して安定した投球を続けていた。ロッテでは先発の一角ではなく、エース格として期待される。18年には13勝をマーク。20年はコロナ禍により120試合制で開催され、調整が難しい中で11勝3敗をマークし、最多勝と最高勝率(.786)のタイトルを獲得している。当時のチームメートで親交が深い千賀滉大(現メッツ)と週刊ベースボールで対談した際、以下のように振り返っていた。

「体が痛くない投げ方をしたら打たれなくなったという感覚ですね。春季キャンプからずっと球速が出なくて試行錯誤する中で、自粛期間明けの紅白戦で1回だけ試してみた投げ方に手応えがあったんです。150キロ出て。でも、その投げ方はそれはそれで諸刃の剣のような感じがして、開幕戦は今まで取り組んできたフォームで挑んだ。そしたら、ボロボロで『これダメだ』と思って。そこで、次の登板のときに球速が出る、紅白戦で手応えを感じた投げ方に変えたんです。それがいいピッチングというか、ある程度勝負できたことで、『じゃあこれでいこう』と」

「前のフォームは上からたたく、体を縦に使うイメージ。それが18年のいいイメージとして自分の中にあったんだよね。それをずっと追い掛けていた。でも、たたくんじゃなくて、どれだけボールを強く押し込めるか、みたいな感じかな。そうすることで自分の体の使い方に、より自然な形で合っていたのかなと思う」

15勝以上の白星も


 テンポの良い投球も持ち味で、連盟特別表彰のスピードアップ賞を20年から2年連続で受賞している。12月19日に入団会見を行った際、新天地での意気込みを語った。

「ZOZOマリンのマウンドや雰囲気はすごく好きですし、投げやすい球場だなと感じているので、そこをホームに戦えるのはプラスに働いてくれるんじゃないかと思っています。25試合、それ以上投げるという覚悟でここに来ると決意しているので、しっかりと自覚と責任をもって準備して戦いに備えたいなというところです」

「令和の怪物」と形容された佐々木だが、度重なる故障の影響もあり規定投球回に到達したシーズンは一度もなかった。石川がシーズン25試合の先発登板をクリアすれば、イニング数で自己最多の156回1/3を更新し、15勝以上の白星が見えてくる。古巣のソフトバンクが手強い球団であることは間違いないが、ロッテファンの熱狂的な応援を背に受け、右腕を振り続ける。

写真=BBM

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