シーズン打率3割を6度マーク

昨季も125試合で打率.283と好成績を残した
DeNAのキャンプでB班(二軍)スタートとなった
宮崎敏郎。キャンプ初日は鹿児島県奄美市で日本一を祝うパレードに参加し、オープンカーから沿道に詰めかけた4300人のファンに手を振り続けた。今年で37歳を迎えるが、まだまだ主力として稼働する。コンディションを整えて戦列を離れなければ、3度目の首位打者が達成可能な目標になってくるだろう。
宮崎はタレントがそろう「88年世代」だ。
坂本勇人、
田中将大(
巨人)、
前田健太(タイガース)、
柳田悠岐(
ソフトバンク)、
秋山翔吾(
広島)、
大野雄大(
中日)、
澤村拓一(
ロッテ)らスター選手がズラリ。坂本、田中は高校時代からスカウトの評価が高く、ドラフト1位で入団したが、宮崎は巌木高、日本文理大で無名の存在だった。社会人野球・セガサミーで強打者として名を轟かせ、ドラフト6位でDeNAに入団。24歳でのプロ入りだった。
三塁に
中村紀洋がいるため入団して数年間は一軍定着できなかったが、巧みなバットコントロールはファームで話題だった。他球団の当時の編成担当は「DeNAが使わないなら欲しい。打撃は一軍ですぐに通用するレベルだった」と振り返る。そして、プロ4年目の2016年に頭角を現す。101試合の出場で打率.291、11本塁打、36打点をマーク。規定打席に到達しなかったが、翌17年は三塁で定位置をつかみ、打率.323、15本塁打、62打点で首位打者を獲得した。その後は攻守で不可欠な存在に。23年にも打率.326で2度目の首位打者に輝くなど、シーズン3割を6度マーク。ミート能力と長打力を兼ね備えた打撃で通算打率.302を誇る。
フォームを微調整しながら
年齢を重ねると、体に変化が生じる。30歳を超えると成績を落とす選手が多い中で、宮崎の凄みは広角に安打を毎年打ち続けていることだ。23年に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。
「基本的には変えていないんですけど、毎年の打撃フォームを見ると、実はちょっとずつ変わっている。でもその変わっていくことに対して、ちゃんと受け止めてあげるという作業はしていますね。年齢とともに嫌でも、形として表に出てくるものがあるので、体のケアにあてる時間が増えてきました。そこをかばって打撃フォームが変わっている部分もあると思います。そのあたりをしっかり受け止め、理解しながらということです。もし前のフォームに戻そうと考えてもなかなか難しい。だから、過去は過去で、今は今。23年シーズンのフォームで、と意識してやっています」
年齢を積み重ねると共に、打撃フォームが変化していく。一方で、変わらずに続けているルーティンもある。
「練習の必ずどこかでフルスイングを入れることですね。常にではなく何スイングでもいいんですけど、バッティングケージの中だったり、自分の練習だったりで、この日のMAXを出すんです。年齢とともに鈍ってくる部分もあるので、今の自分がどれだけできるのかの確認をしています。また、逆に自分に対してまだまだできるぞという確認でもあります。まだ遠くに飛ばしたり、まだ強い打球が打てるんだぞということを、自分に思い込ませているところもありますけどね」
同世代から刺激を受けて
プロの第一線でプレーしている同学年の選手たちは減ってきている。DeNA時代に共にプレーした
梶谷隆幸のほか、
西武で通算194セーブをマークした
増田達至、外野守備と走塁技術に定評があった
福田秀平が昨年限りで現役引退。背水の陣を迎えた選手も。田中はプロ18年目の昨年に初めてシーズン未勝利に終わり、
楽天を退団して巨人で復活を目指している。
宮崎は「とにかく皆すごい人たちばっかりなんでね。すごいとしか言いようがないです。皆、体もでかいし。でも同世代の活躍には、本当に刺激をもらっています」と語っていたが、現在も常時レギュラーで活躍している選手は少ない。リーグ制覇、日本一に向けて今年もポイントゲッターとして打ち続ける。
写真=BBM