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44試合出場で20盗塁の衝撃…巨人で復活期待の「スピードスター」は

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昨季途中に巨人へ


昨年6月末に西武から巨人へ移籍した若林


 春季キャンプは二軍スタートとなったが、先は長い。巨人に移籍2年目で外野の定位置獲りを目指すのが若林楽人だ。

 昨年6月末に松原聖弥とのトレードで西武から加入すると、すぐに結果を出した。「六番・左翼」でスタメン出場した7月12日のDeNA戦(東京ドーム)で、9回に左前へサヨナラ打。5月にも西武でサヨナラ打を放っており、同一シーズンに2球団でマークしたのは史上初の快挙だった。7月21日の中日戦(バンテリン)では移籍後初アーチを放つなど3打点の活躍で勝利に貢献。目立ったのは本塁打の打席だけではない。6回一死一、三塁の好機で併殺になりそうな二ゴロに快足を飛ばし、併殺崩れにして三塁走者が生還。貴重な追加点をもたらした。阿部慎之助監督は「動物のように足が速い。僕だったら(塁間の)半分くらいでアウト」と驚きを口にした。

 指揮官はファームの監督時代から西武でプレーしていた若林に熱視線を送っていた。「ポテンシャルも素晴らしいし、独特な世界を持っている。なんかやってくれる、と期待感を持たせてくれる選手だと思ったので、西武とのトレードをさせてもらいました」と球団に要望したことを明かしている。9月に自然気胸を患って登録抹消されたが、27試合出場で打率.214、1本塁打、7打点。得点圏打率.364をマークするなど数字以上に貢献度は高い。代走や守備固めでの出場機会が多かったが、俊足を生かして好プレーを再三見せた。

 4年前の21年。春先に見せた新人時代の輝きは強烈だった。開幕一軍入りを果たし、4月中旬に外野の定位置をつかむと、44試合出場で20盗塁をマーク。シーズン60盗塁を上回る驚異的なスピードで量産していた。だが、5月30日の阪神戦(メットライフ)で、外野の打球処理を試みた際、左膝前十字じん帯損傷の大ケガを負って長期離脱。この大ケガを機に苦悩の日々が続く。

「体全体が弱くなってしまって」


 リハビリに打ち込み、22年5月下旬に復帰したが、28試合出場で打率.207、3盗塁。昨年6月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように振り返っている。

「全力で走ると、次の日には(左膝に)めちゃくちゃ痛みが出てという日々の繰り返しで。『なら、走らないほうがいいな』と思ってやってもみたのですが、練習から走ることをやらなくなってしまうと、やはり筋力も弱まりますし、痛みで十分なトレーニングも積めなかったので、どんどんどんどん体全体が弱くなってしまって。で、打撃も感覚がずれてきてしまい、コーチや先輩に『もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない?』と言ってもらっても、それができる状況ではなくて。『いや、やりたいんだけどなあ』と……。ケガがケガだったので、『まだ(全快は)早いのかな』と思ったりもしました」

「それでも、周りに『痛い』と言ってしまえば、大ケガをした以上、監督・コーチも気遣ってくださって、『大事をとって二軍でもうちょっと様子を見るか』となるでしょうからね。自分の中で、正直、『早く復活をアピールしなければ』という“焦り”もあったので、『痛い』とだけはどうしても言えませんでした。1年目にあれだけ走って、復帰して、2年目もそれを求められて、でも走ったら痛みが出て。本当に『どうしたらいいんだろう?』という思いしかなかったですね」

払しょくされた不安


 痛みを抱えた状態では本来のパフォーマンスを発揮することは難しい。23年のシーズン中に患部に再び激痛が走り、精密検査を行ったところ、最初の手術の時に入れたボルトが神経に触ってしまい、痛みが発生していることが判明。同年オフにボルトの除去手術を行ったことで、「左膝のケガのことを考えずにプレーできている」と不安が払しょくされた。

 新人の時のように盗塁を量産することは難しいかもしれないが、俊足とパンチ力を兼ね備えた外野手はチーム内で少ない。チームの勝利へ必要な存在になるため、躍動感あふれるプレースタイルで一軍定着を目指す。

写真=BBM

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