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一度は野球を辞める決断も…DeNAの大型内野手に「森下翔太と重なる」高評価が

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攻守で魅せるプレー


今季、ドラフト3位でDeNAに入団した加藤


 オープン戦が始まり、強烈に存在をアピールしているのがDeNAのドラフト3位・加藤響だ。

 2月23日のオープン戦・ヤクルト戦(浦添)。6回無死一、三塁の好機に森敬斗の代打で出場すると、清水昇から中前適時打を放った。守備でも魅せた。遊撃に入ると、6回一死から橋本星哉の中前に抜けようかという打球を好捕し、一塁に好送球でアウトにした。「三番・二塁」でスタメン出場した18日の練習試合・巨人戦(沖縄)でも、2回二死一、三塁で秋広優人の一、二塁間へ飛んだ痛烈を好捕している。8回に迎えた一死満塁のピンチも荒巻悠のライナーをダイビングキャッチし、そのままグラブトスで二塁に送球して併殺に。大量失点のピンチを防いだ。

 打撃だけでなく、高水準の守備で首脳陣の信頼を高めていることが、成長の証しだ。東海大相模高では高校通算35本塁打をマーク。同学年に山村崇嘉(西武)、西川僚祐(くふうハヤテ)と共に強打者として評価を高めた。東洋大学に進学すると、1年春から定位置を獲得したが、3年秋に与えられた出場機会は代打で出場した2試合のみ。自身の能力に限界を感じ、野球部を退部した。一般就職を目指して企業説明会に参加しようと考えていたが、小3のころから指導を受けていた養父鐵(元ダイエーほか)の強い勧めで、四国アイランドリーグplusの徳島に入団。この決断が大きな転機になった。

忘れられない試合


 忘れられない試合がある。5月4日の香川前期7回戦。攻守で精彩を欠いた。3打数無安打に終わり、守備でも一塁へ悪送球し、打者走者に二塁進塁を許していた。試合後に橋本球史コーチから調子の悪さをあからさまに態度に出していたことを指摘され、「チームの主軸のお前がああいうプレーをしたら、みんなの気持ちが下がる。お前、良いときは良いけど、悪いときは良い選手に見えない」と名指しで叱られた。

 加藤は「確かに、いままで自分に足りないところは、たぶんそこだったんだなって、気づいた瞬間でしたね」と猛省し、野球に向き合う姿勢を見つめ直した。「ここでチームのために何が最善なのか? どうしたらチームのためになるか? と考えました。打席なり守備なり、できるようになってからですかね。そこから急に評価が上がった感じがします」。自身のスキルを磨くことに矢印を向けていたが、野球はチームスポーツだ。状況に応じた打撃を心がけ、守備や走塁でもチームを助けたいという思いで技術を磨くと、パフォーマンスが上がった。64試合出場で、打率.311、6本塁打、41打点をマーク。一度は野球を辞める決断をした男が、地元球団のDeNAにドラフト3位で指名された。

実戦向きの選手


 定位置獲りを目指す遊撃は1学年上の森敬斗がいる。昨年のCS、日本シリーズで活躍し、チームの軸として期待される選手だが負けられない。同学年の度会隆輝が実戦で活躍してアピールしていることも大きな刺激になっているだろう。リーグ制覇、2年連続日本一に向けて新戦力の台頭は不可欠だ。

 独立リーグの関係者は「実戦向きの選手。打撃は森下翔太(阪神)と重なります。フルスイングで強い打球を打てる上にコンタクト能力が高い」と評する。東海大相模高で2学年上の森下は中大からドラフト1位で阪神に入団すると、新人の23年に打率.237、10本塁打、41打点をマーク。オリックスと対戦した日本シリーズでは新人のシリーズ歴代最多打点新記録の7打点を記録し、38年ぶりの日本一に貢献した。昨年は129試合出場で打率.275、16本塁打、73打点と打撃3部門で成績を上げ、プレミア12では侍ジャパンの四番として活躍。今年はチームでも藤川球児監督が四番で起用する構想を明かしている。

 加藤は先輩の背中を追いかけ、追い越せるか。試練を乗り越え、新たな挑戦が始まった。

写真=BBM

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