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細川成也を押しのけて四番起用 故障がネックも覚醒待たれる「中日の和製大砲」は

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新監督からの大きな期待の表れ


石川は6年目でその潜在能力を開花させることができるか


 2月下旬から始まったオープン戦で、中日打線の四番に起用されたのが石川昂弥だった。23日のオープン戦・阪神戦(北谷)で、7回に三ゴロを放ち、一塁へ全力疾走した際に左足をつって負傷交代。その後はオープン戦のスタメンから外れているが、患部の状態は軽症とみられる。

 実績を考えれば、細川成也の四番起用が自然に感じる。昨年は全143試合出場で打率.292、23本塁打、67打点をマーク。課題だった確実性が上がり、打率はリーグ4位、本塁打もリーグ4タイの好成績を残した。一方で石川は82試合に出場し、打率.272、4本塁打、25打点、打率は4年目の昨季を上回ったが、本塁打数は13本から激減。和製大砲として期待が大きいだけに、寂しい数字だ。石川の活躍なくして巻き返しは望めない。井上一樹新監督がオープン戦で四番起用したのは、大きな期待の表れと言える。

 伸び悩みの原因とされるのが、度重なる故障だ。昨年の秋季キャンプで強化指定選手に指名されたが、左手首を負傷。「検査も行きましたが、痛みも引いて問題ないとの診断でした。まずは100パーセントで振れるように。そこが一番ですね」と語っていたが、コンディションを整えて離脱しないことが試合に出続ける上で重要な要素になる。

同期入団はタイトル奪取


2022年には最多安打のタイトルを獲得した岡林


 全力プレーの代償で不可抗力の部分があるが、「無事是名馬」という格言があるように、レギュラーをつかんで試合に出続ける選手は心身共にタフだ。石川と同期入団の岡林勇希は代表的な選手と言えるだろう。22年に開幕から外野のレギュラーに抜擢され、142試合出場で打率.291、0本塁打、32打点、24盗塁をマーク。最多安打(161本)のタイトルを獲得した。23年は全143試合フルイニング出場し、打率.279、3本塁打、31打点、12盗塁。最多安打は1本差で届かなかったが、7月から8月にかけて29試合連続試合安打の球団記録を樹立した。昨年は春季キャンプ中に右肩炎症で出遅れ、春先から打撃の状態が上がってこなかったが、後半戦は打率.358をマーク。外野守備では233度の守備機会で失策ゼロと自身初となる守備率10割でシーズンを終え、3年連続となるゴールデン・グラブ賞を受賞した。

 ただ、本人満足感はない。3年連続規定打席に到達したが、123試合出場で打率.256とレギュラー定着以来ワーストの数字が終わったため、「今季は本来の自分の良さが消えていたところがあります。開幕前の肩のケガの影響もありました。直球をなかなか打ち返せない。タイミングを含めてズレがあった。ゆったりタイミングを取って変化球を見極められるようにと思ってやっていることが、逆に直球に差される原因になることもありました。周りを見渡しても、直球を打っている人は打率が高い。細川(細川成也)さんも福永(福永裕基)さんも直球を打って、変化球も打っている。そこはデータの人とも話しながらやっています。まずは直球をいかに打つか。オフもそこに重点を置きます。そして来季はケガなく、もう一度143試合フルイニングで出られるように頑張ります」と週刊ベースボールの取材で意気込みを口にしていた。

実戦で結果を残して


 オープン戦は四番で起用された石川だが、岡林と違ってレギュラーを確約された立場ではない。打撃好調の新外国人・ボスラーは三塁を守ることが可能で、高橋周平も控えている。実戦で結果を残さなければ、一軍の座も危うくなる。

 今年がプロ6年目。高卒同期入団の佐々木朗希(ドジャース)が今年からメジャー挑戦を決断し、チームメートの岡林、昨年最多安打を獲得した長岡秀樹(ヤクルト)、宮城大弥紅林弘太郎(オリックス)はチームの主力に。井上温大(巨人)、森敬斗(DeNA)、玉村昇悟(広島)も今年のブレークを予感させる。石川はドラフト1位で中日、オリックス、ソフトバンクと3球団が競合し、球界を代表する長距離砲として期待されたが、プロは結果がすべての世界だ。今年こそ大輪の花を咲かせたい。

写真=BBM

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