週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

今年の中日は一味違う? 他球団から「打線が強力」警戒の声が

  0

阪神戦で効率的に得点


今季から中日を率いる井上監督


 たかがオープン戦ではない。チームが前に進むために大きな白星だ。中日が3月5日の阪神戦(甲子園)で11安打7得点を奪って快勝した。球団史上初の3年連続最下位に低迷した昨年は0勝10敗1分けと甲子園で一度も勝てなかった。11試合で奪った得点は17。1試合平均1.55得点では苦しい。屈辱を味わっただけに、今年はシーズン前に嫌なイメージを払拭したかった。

 口火を切ったのは三番で起用された板山祐太郎だった。古巣との対戦で初回に右翼席へ先制ソロを放つと、2回は一死二、三塁の好機を作り、九番の樋口正修が左中間への2点適時二塁打。その後も着実に得点を積み重ねる。3回は五番の中田翔が左中間を破る適時二塁打。4回は一死二、三塁で福永裕基が中前に2点適時打を放ち、4回まで毎回の6得点。7回は樋口が押し出し四球を選び、突き放した。

 昨年はリーグワーストの373得点。1試合平均2.61得点と打線がつながりを欠いた。打線の核として期待していた中田翔が度重なる故障で稼働せず、4月末に復帰したリードオフマン・岡林勇希の状態が上がってこない。和製大砲の石川昂弥も伸び悩んだ。内外野を守るカリステが奮闘し、2年目の村松開人、福永裕基が頭角を現したが、「日替わり打線」は連動性を欠き、本塁が遠い。得点圏打率.226という数字が示すとおり、好機の場面で精神的に追い込まれているように見えた。

打撃コーチに元三冠王


ダイエー[現ソフトバンク]時代の2004年、三冠王に輝いている松中コーチ


 現有戦力の底上げが急務の中で、井上一樹新監督が招聘したのが松中信彦打撃統括コーチだった。昨年の秋季キャンプから指導し、「この3人が中心になるとドラゴンズが強くなる」と名前を挙げたのが、細川成也、福永、石川昂だった。「平成唯一の三冠王」として現役時代にダイエー、ソフトバンクが常勝軍団になる礎を築いた。週刊ベースボールのインタビューで当時を振り返っている。

「入団当時のホークスははっきり言って弱かったです。今思えば『勝ちたい』という集団じゃなかった。負けても傷のなめ合いで、それを一番、王貞治監督(現球団会長)は嫌っていました。『淡々と試合をしても野球の神様は微笑んでくれない』『悔しがるという姿を見せてほしい』と。“戦う集団”を作りたかったと思うんですよね。監督が徹底して『勝つ』という意識を植え付けていく中で、小久保(小久保裕紀)さん(現ソフトバンク監督)を筆頭に徐々に選手たちも変化していきました。『皆で勝ちにいくぞ』という思いが1999年、福岡での初優勝・日本一につながっていったと思います」

「僕自身も入団してからの2年間は木のバットに苦しんで、なかなか結果も出せずにいました。2年目のシーズン終盤に、ようやく手応えをつかみつつありましたが、3年目にこけたら、また一緒だと思った。99年は自分の中で『今年ダメだったら終わる』くらいの気持ちで臨んだシーズンだったんです。初めてレギュラーとして開幕スタメン『九番・一塁』でスタートして、結果も残して優勝。本当にいい1年になりましたね」

もともと個々の能力は高い


 松中コーチが小久保監督、井口資仁(ロッテ前監督)、城島健司(現ソフトバンク会長付特別アドバイザー兼シニアコーディネーター)と切磋琢磨してチーム力を底上げしたように、中日も福永、細川、石川昂が一本立ちしなければチームの未来が切り拓けない。

 他球団のスコアラーは「昨年とは明らかに変わると思います。もともと個々を見ると能力の高い選手がそろっています。特に厄介なのが福永ですね。ボール球をきっちり見極めるし、甘く入ったらスタンドに運ぶツボがある。新外国人のボスラーも打撃が柔らかく、日本向きの雰囲気があります。中田翔がコンディションを整え、細川が並ぶと重厚な打線になる。上位には岡林、村松開人とチャンスメークできる選手がいますし、貧打とは考えていません」と警戒を強める。

 板山、樋口など伏兵たちが攻守でアピールするなど定位置争いが激しくなっていることも、明るい材料だ。井上監督がスタメン選びで悩むほどの打線を構築できた時、セ・リーグの台風の目になることは間違いない。

写真=BBM

この記事はいかがでしたか?

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント 0

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング