メドが立った2025年型の攻撃

メニューの合間に早大・小宮山監督を中心にミーティング。試合で出た課題を練習で克服する、その繰り返しである[写真=BBM]
早大は沖縄・浦添で3月5日から19日まで春季キャンプを張っている。
小宮山悟監督は1週間を終えた段階での成果を語る。
「強化ができている。一つひとつの練習に目的意識を共有した中で、全員の思いを一つにしている。(活動拠点である)東京の安部球場とは環境が違う。安部寮には20数人しか入れないですが、沖縄では50人が寝食をともにしている。春のリーグ戦で戦う可能性の高いメンバーで日々、チーム力を高めるため頑張っている。東京は凍えるほどの寒さでしたが、ここは半袖で練習ができる。強化する中で、オープン戦が組まれており、実戦で課題を見つけて、それをつぶしていく繰り返しです」
沖縄では東海大に5対3、日本生命に2対0で勝利した。確かな手応えを語る。
「昨年のチームの三番・吉納(吉納翼、
楽天)、四番・印出(
印出太一、三菱重工East)が抜けたので、得点力不足をいかに解消するか……。主将の小澤(
小澤周平、4年・健大高崎高)が先頭に立って、これまでフォーカスしてこなかった足を絡めた攻撃に着手している。オープン戦でも目に見えて、その効果が出ている」
2025年型の攻撃にメドが立ち、小宮山監督は「投手陣に関しては、何の心配もしていない」と、失点が計算できるという。日本生命とのオープン戦では151キロ右腕エース・
伊藤樹(4年・仙台育英高)が6回無失点と順調な調整ぶり。球場表示のスピードガンで150キロを表示し、4月12日の開幕戦(対東大)に向けて、順調な調整が進んでいる。
キャンプ参加メンバーでは4年生には変則右腕・田和廉(早実)、3年生には左腕・
宮城誇南(浦和学院高)、香西一希(九州国際大付高)、右腕・
越井颯一郎(木更津総合高)が控える。1年生も右腕・小松龍一(花巻東高)、左腕・佐宗翼(星稜高)がシート打撃で、小宮山監督が「そん色ない」と評価する安定感抜群の投球を披露している。
打線は一番・尾瀬雄大(4年・帝京高)に「早稲田史上最強の打者になれ、と言っている。手の届くところに来ているわけですから」と発破をかけている。早大の先輩・
岡田彰布氏(
阪神前監督)が持つ歴代1位の通算打率.379と早大1位の117安打の更新を期待する。尾瀬は3年秋まで通算打率.369、73安打。安部寮の自室には2つの数字を書いた紙を貼り、モチベーションを高めている。
主将を支える副将3人も元気
新戦力では1年生・徳丸快晴(大阪桐蔭高)が抜群のセンスでアピール。
日本ハム・
清宮幸太郎(日本ハム)の弟で、4年生でリーグ戦初出場を目指す右の強打者・
清宮福太郎(早実)も浦添キャンプに帯同。激しいチーム内競争の中で、持ち前の打力を磨いている。
主将・小澤を支える副将3人も元気である。昨秋にベストナイン(一塁)を受賞した前田健伸(4年・大阪桐蔭高)、内外野を守れる松江一輝(4年・桐光学園高)、今春から早大の正捕手を意味する伝統の背番号6を着ける
吉田瑞樹(4年・浦和学院高)の3人だ。
「4年生は自分たちの代の中で試行錯誤している。連覇した昨年の主将・印出の代と比較することはできない。小澤は小澤で自分の色に染めながら、同級生の力を借りている。前田は打線の中心、吉田も打撃好調ですが、ミットがありますので、八番を動かすつもりはありません。松江は真面目な選手です。日本生命とのオープン戦で欠場した田村康介(4年・早大学院)の代わりに出場して、結果を残した。サードで一歩、リードしている」

3月11日は東日本大震災から14年。チームは練習を中断し、14時46分に黙とうをささげた[写真=BBM]
3月11日は東日本大震災から14年。地震が発生した14時56分には練習を一時中断し、黙とうを捧げた。13日にはエナジック戦、14日は沖縄電力戦を終えて、キャンプを打ち上げる。
浦添キャンプ後は関西、東海遠征に向かう。ここでメンバーは28人に絞り込まれ、8日間で7試合を消化して3月27日に帰京する。
「沖縄から東京へ先に帰ったメンバーが10日間、チーム本隊を待ち受ける。彼らが安部球場で見違える姿になれば、さらなるチーム力向上が期待できる」(小宮山監督)
創設100年の東京六大学リーグで3連覇に挑戦する早大。チームは軌道に乗ってきた。
文=岡本朋祐