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【大学野球】コンディションを整える段階から勝負にこだわる スキが見当たらない早大エース・伊藤樹

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バッテリーを組む正捕手が変更


早大のエース・伊藤樹は沖縄で充実の日々を過ごしている[写真=BBM]


 早大は沖縄・浦添で3月5日から19日まで春季キャンプを張っている。昨春からエース番号11を着ける伊藤樹(4年・仙台育英高)の調整は順調だ。充実した表情で語る。

「リーグ戦が始まると、どうしても運動量が落ちるんです。温暖な沖縄にいる間に、体を動かす。ランニングはもちろんのこと、いろいろなトレーニングで体に負荷をかける。心拍数を上げることも意識しています」

 ANA BALL PARK浦添は高台にあり、約80メートルある坂道ダッシュ、グラウンド横の階段ダッシュが名物メニュー。日々、前向きな姿勢で、厳しい練習を消化している。

 伊藤樹は昨年、9年ぶりの春秋連覇の原動力となり、年間9勝、2季連続でベストナインを受賞した。各校は今春、3連覇阻止と「打倒・早大」で臨んでくる。

「この2月、3月の仕上がりを見れば、ストレートの速さ、ピッチングの精度、フィジカルの成長と、明らかに昨年よりも上回っている実感があります。この調子で入れれば、昨年よりも高い能力値で戦える。相手も研究してくる。そこを上回っていかないといけない」

 昨年からの大きな動きは、バッテリーを組む正捕手が変わることである。入学から3年間、ボールを受けてもらった昨年の主将・印出太一(三菱重工East)が卒業。早大の正捕手の証しである伝統の背番号6を着ける吉田瑞樹(4年・浦和学院高)がレギュラー候補だが、尾形樹人(2年・仙台育英高)も控えている。

「意見をぶつけ合っています。詰めていかなといけないことはたくさんある。瑞樹も頑張っており、コミュニケーションを取っており、良い段階を踏んでいると思います。自分はいつも意図のあるボールを投げたいと考えていますが、昨年のリリーフ陣を見ていると、印出さんが出すサインに従って投げているように見受けられました。僕が今年で卒業するのを見据えると、3年生以下の投手も、自分で考える力がないと太刀打ちできません。投手陣全体で配球を研究しよう、と言っています」

 伊藤は背番号11の背中を見せている。キャンプ前、2月28日の亜大とのオープン戦は2回無失点。3月10日、日本生命とのオープン戦を6回無失点に抑えた。球場表示ではあるが、自己最速にあと1キロに迫る150キロを計測した。昨年に増して、安定感が抜群である。

「リーグ戦開幕(4月12日、対東大1回戦)まで約1カ月。シーズンに入るまで抑え続ける。オープン戦も、無失点にこだわっています。意図としてはチームメートから安心感、信頼感を得た上で開幕を迎える。エースとしても、ドラフトを控える身としても、調整と結果を両立させる。ボールの強さと丁寧に投げること、双方を追い求める。正直、しんどい部分もありますが、これをクリアしないと、リーグ優勝、ドラフト1位もないと思います」

 コンディションを整える段階から、あくまでも勝負にこだわる。頼れるエース・伊藤樹にスキは見当たらない。

文=岡本朋祐

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