開幕戦は無安打も

今季のカープ打線のカギを握るファビアン
プロ野球が3月28日に開幕し、
広島は本拠地・マツダ広島で
阪神と対戦。散発4安打と打線がつながりを欠き、完封負けを喫した。開幕戦は3年連続黒星スタートなった。
この試合で新外国人の2人がスタメンに名を連ねた。四番のエレフリス・モンテロと六番のサンドロ・ファビアンだ。共に無安打に終わったが、打線のカギを握る存在であることは間違いない。昨年は8月まで首位争いを繰り広げていたが、9月に5勝20敗と大失速。貧打が要因だったが、シーズンを通じて振り返ると、打線の中軸として期待された助っ人外国人が戦力にならなかったのが誤算だった。マット・レイノルズは開幕で2試合出場したが無安打に終わり、左肩を痛めて4月以降に長期離脱。6月28日に契約解除された。ジェイク・シャイナーも12試合出場で打率.133、1本塁打、5打点とふるわず、9月20日に退団した。
昨年まで阪神で指揮をふるった
岡田彰布監督は週刊ベースボールのインタビューで、広島の今年の戦いを以下のように分析していた。
「春から初夏はいい。そこから暑い夏から残暑、そしてラストスパートの段階で、スタミナの貯金は底をつき、投手陣の崩壊によってチームが転落……。こういう経験をオレ自身、何度も味わってきた。だから新井監督のつぶやきはよく理解できるし、これが実るかもしれない。広島はまず投手陣よ。そこを底上げして、攻撃陣は若い選手が相当振り込んでいるのが伝わってきた。若い内田(
内田湘大)という選手のバッティングなど、楽しみ十分。あとは新外国人やな。ここ数年、あまり外国人選手に恵まれなかった広島。今年の外国人はどうか? これが大きなポイントになると見た」
日本で4年連続2ケタ本塁打
打線強化に向け、新加入のモンテロ、ファビアンに大きな期待がかかる。モンテロはオープン戦で打率.333、2本塁打、3打点。ファビアンは打率.163、2本塁打、4打点だったが、3月22日の
ソフトバンク戦(みずほPayPay)で4回に左翼席中段へ特大アーチを放つなどマルチ安打をマーク。実戦を重ねてバットが振れてきている。他球団のスコアラーは「軽く振っているように見えるけど打球が飛んでいく。
ヤクルトの
ドミンゴ・サンタナみたいなタイプですね」と評価していた。

昨季は最高出塁率のタイトルを獲得したサンタナ
サンタナはメジャーで通算77本塁打をマーク。打率.255と確実性が課題と言われていたが、ヤクルトに移籍すると日本野球に見事に対応している。来日1年目から4年連続で2ケタ本塁打を放ち、昨年は打率.315、17本塁打、70打点をマーク。首位打者に輝いた
タイラー・オースティン(
DeNA)に1厘差で及ばなかったが、2年連続打率3割をクリアし、出塁率.399はリーグトップと来日初の打撃タイトルを獲得した。甘い球をスタンドに運ぶだけでなく、2ストライクと追い込まれてもヒットゾーンに飛ばす。「特に考えすぎないことを心掛けていて、主に投げミスを狙うアプローチで打席に立っています」と打席での心構えを語っている。
異国でも不安はない
ファビアンはメジャーで通算3試合出場と目立った実績はないが、23年はレンジャーズ3Aで117試合出場し、打率.288、23本塁打、78打点をマーク。昨年も116試合出場で打率.270、17本塁打、81打点と勝負強い打撃に定評がある。日本野球に対応してサンタナのような活躍を見せれば、チームに大きなプラスアルファをもたらす。
異国の地での生活に不安はない。「約1カ月間のキャンプはいろんなことを学ぶ期間になって、すごくいい感じで調整できていると思います。これから日本の野球、日本の文化のことももっと勉強しないといけないけど、日本での生活はすごく楽しいし、もう慣れました。日本での食事は何でもおいしい。特にヤキニクは最高! 宮崎でも沖縄でも、みんなで食べに行きました。ステーキと違って、自分たちで焼くスタイルが楽しい。日本に来て初めてタンを食べたけど、すごくおいしかった。あと、豚骨ラーメンも大好きです。自分で料理もします。広島ではスーパーに食材を買いに行って、いろんなものを作りたい。得意料理はオムレツ。料理も楽しみながら、ガンバリマス」と語っている。
モンテロと共に、広島の救世主になれるか。
写真=BBM