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巨人・門脇誠に強力なライバル 川崎宗則と重なる「スピードスター」は

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ハイレベルな定位置争い


開幕一軍入りを果たしたドラフト2位・浦田


 シーズンのスタートと共に巨人打線が活発だ。3月28日の開幕戦は7回終了時点で0対5と厳しい展開だったが、終盤の猛攻で同点に追いつくと、延長10回に若林楽人が左中間にサヨナラ適時打。攻守の中心選手である丸佳浩が開幕直前に「右大腿二頭筋筋損傷」で離脱する非常事態に見舞われたが、若林を一番に抜擢する阿部慎之助監督の采配が見事に的中した。開幕戦で4安打は、1972年の王貞治(現ソフトバンク球団会長兼特別チームアドバイザー)以来球団53年ぶりの快挙だった。翌29日もヤクルトの投手陣に襲い掛かる。4回までに12得点を奪う猛攻で大勝。開幕2連勝を飾った。

 ハイレベルな定位置争いがチーム力を底上げしている。開幕戦では坂本勇人が三塁でスタメン起用されたが好機で2併殺打に倒れるなど5打数無安打とブレーキになり、2戦目は中山礼都が「六番・三塁」で出場。オープン戦で打率.304と打撃好調だった若武者が期待に応え、大量得点の口火を切った。1点リードの2回に先頭で打席に立つと、吉村貢司郎の144キロ直球を左前に運んで出塁。この回一挙6点を奪う流れを作った。下位がつながれば、得点力が一気に上がる。「八番・遊撃」で先発出場した門脇誠が、2回に左翼線へ2点適時二塁打を放つなどマルチ安打の活躍。結果を出さなければほかの選手にチャンスを明け渡す危機を迎える。強力なライバルになる可能性を秘めた遊撃が、ドラフト2位で入団して開幕一軍をつかんだ浦田俊輔だ。

 春季キャンプ終了後に一軍合流すると、オープン戦6試合で打率.308をマーク。3月11日のソフトバンク戦(長崎)で盗塁を試みてスライディングした際に負傷し、左足首捻挫で離脱したが、ここから巻き返す。「七番・遊撃」でスタメン出場した26日のイースタン・オイシックス戦(ジャイアンツタウン)で2安打2打点1盗塁と大活躍。視察した阿部監督が逆転での開幕一軍入りを決断した。

 門脇も俊足に定評があるが、他球団のスコアラーは「足の速さだけで言えば、浦田のほうが上でしょう。足が速いだけでなく、打撃も広角に安打を打てます。タイプとしては川崎宗則(BCL/栃木)が目指すべきモデルスタイルになるでしょう」と分析する。

43歳でもユニフォームを着る川崎


ソフトバンク時代の川崎


 43歳の現在も現役でプレーする川崎はソフトバンクの中心選手として活躍。俊足を武器にリードオフマンとして盗塁王や最多安打のタイトルを獲得し、遊撃の守備でもゴールデン・グラブ賞を2度受賞した。メジャーでも5年間プレーし、侍ジャパンで06、09年と2大会連続WBCに出場して連覇に貢献した。天真爛漫な明るいキャラクターで仲間やファンに愛されている。

 ソフトバンクを退団後に、台湾の味全ドラゴンズで選手として復帰し、20年9月に栃木に入団することを決断した。週刊ベースボールで当時の心境を以下のように語っていた。
「キャリアの最後ってつもりで行くわけではないですし。僕はNPBのトライアウトを受けるつもりがなくて、というのは、NPBでは13年間、十分にやったので。飽き性なので、違う環境でやりたいんですよ。純粋にBCLを見て、自分が何を感じるのか。基本的にはNPBでプロになりたい若い選手がいっぱいいますよね?そんな彼らがプロを目指しながら野球をやり、生活するためにオフにはバイトをする。そういう話を聞きます。もちろん、僕は野球を楽しみに行くんですが、実際にBCLを体感してみて、彼らのためにプラスになるような、さまざまなアイデアが生まれるかもしれない。そういう思いも少なからず持っていて、これからの人生を考えると、避けては通れない道だと思っています」

 浦田が川崎のようにスピードスターとして光を放ち、門脇が守る遊撃手の定位置を脅かせるか。開幕から2試合連続で代打起用されて無安打に終わったが、戦いは始まったばかりだ。

写真=BBM

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