外国人枠をめぐる争い
開幕カードで
ヤクルトに3連勝と最高のスタートを切った巨人だが、4月1日の
中日戦(バンテリン)は2対3で競り負けた。この試合では先発の
井上温大が7回2失点と力投。だが、8回から救援登板した
アルベルト・バルドナードが無死満塁から
オルランド・カリステの右犠飛で失った3点目が重くのしかかる形となった。
巨人は一軍の外国人枠4人をどう運用するかが大きなポイントになる。開幕から打撃好調の
エリエ・ヘルナンデス、
トレイ・キャベッジは外せない。新外国人のキャベッジはオープン戦で打率.214、0本塁打と調子が上がっていなかったが、開幕3連戦は打率.385、2本塁打、6打点と大活躍。「二番・右翼」で自慢の長打力だけでなく、一つ先の塁を狙う積極的な走塁と闘志を前面に押し出すプレースタイルでチームの士気を高めている。
丸佳浩が故障で長期離脱している中、2人の助っ人外国人は打線に不可欠だ。
投手陣で柱として期待される
フォスター・グリフィンは発熱で開幕2戦目の先発を回避して登録抹消に。昨オフに中日から移籍した
ライデル・マルティネスは絶対的守護神として期待される中で残りの1枠を巡り、左腕の層が手薄なことからバルドナードが開幕一軍をつかんだ。来日4年目のカイル・ケラーはオープン戦で5試合に登板して防御率1.80と安定していたが、開幕二軍スタートになった。他球団のスコアラーは「ケラーは他球団に行けば抑えを任せられる。それだけの力を持っている投手ですし、オープン戦でも状態が良かった。外国人枠を巡るハイレベルな競争から漏れてしまいましたが、長いシーズンを考えたときにどこかで必要とされるでしょう」と話す。
リリーフを重要視する指揮官
阪神から移籍初年度の昨年は52試合登板で2勝2敗1セーブ20ホールド、防御率1.53。勝利の方程式を担うセットアッパーとして稼働し、4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。
阿部慎之助監督は今年2月に週刊ベースボールのインタビューで、救援陣の重要性を語っている。
「一番後ろがしっかりしているチームというのは強いですし、ジャイアンツも後ろがしっかりしているときは優勝できている。昨年も
大勢が最初はずっこけて(故障離脱して)しまって、そこで苦労したことで負担がアルベルト・バルドナードに行ってしまった。そのまま、最後はしっかり立ち直ることができず、精神的にきつい感じでシーズンを終えさせてしまったというこちらの責任もありました。その負担を少なくするためにライデル・マルティネスを獲っていただいた」
「昔の阪神のJFK(
ジェフ・ウィリアムス、
藤川球児、
久保田智之)じゃないですけど、後ろがしっかりしたものになれば勝率はかなり上がってくると思っています。実際、昨年も大勢が戻ってきてからチームの状態も上がりましたしね。9回はライデルに任せます。大勢は8回なのか、7回に行ってもらうこともあるかもしれない。バルドナードもカイル・ケラーもいるんでね。1人は外国人枠を空けなければいけないかもしれないですけど、その3人体制で7、8回を行ってもらえればと思っていますし、もちろん、ライデルが連投して上がりになるときは大勢に後ろで行ってもらいます」
質の高い巨人の中継ぎ
球界No.1守護神の
マルティネスが加入し、昨年まで抑えを務めた大勢がセットアッパーに。昨年新人王に輝いた
船迫大雅、実績十分の
高梨雄平、
泉圭輔、ロングリリーフが可能な
横川凱、
堀田賢慎と能力の高い投手がそろう。現役ドラフトで
日本ハムから移籍した
田中瑛斗も救援で2試合登板して無失点とアピールしている。バルドナードも負けられない。昨年チーム最多の58試合登板で2勝3敗9セーブ26ホールドの好成績を残している。
ケラーは一軍での登板に備え、最善の準備を尽くしているだろう。12球団屈指の強力救援陣でリーグ連覇を目指す。
写真=BBM