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他球団から「大谷翔平に匹敵する衝撃」…規格外のアーチ放った「阪神の強打者」は

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巨人戦で2本塁打


阪神打線のカギを握る佐藤輝。本塁打が増えれば打線の得点能力は増す


 巨人に敵地・東京ドームで同一カード3連勝を飾った阪神だが、本拠地の甲子園に戻るとヤクルトに2連敗。勝率5割に逆戻りしたが、気になるのは4月9日の試合で体調不良により今季初めて欠場した佐藤輝明だ。前日はスタメンから外れて8回に代打で出場したが、佐藤輝がスタメンに名を連ねることで相手バッテリーに重圧をかけられる。

 調子が上がってきたと期待が高まってきただけに、早期復帰できるか気になるところだ。5日の巨人戦(東京ドーム)の2発のアーチは圧巻だった。初回に赤星優志のカットボールを左翼席に運ぶ3号ソロ。球団通算8500号のメモリアル弾となる一打で先制すると、2点リードの8回も、かつてチームメートだったカイル・ケラーの152キロ直球を左翼席中段に叩き込んだ。映像を見た他球団の首脳陣は「驚きましたね。ケラーの球は決して甘くない。外角いっぱいの直球をあそこまで飛ばせる日本人選手は大谷翔平(ドジャース)と佐藤輝ぐらいでしょう。強振しているように見えないが、打球がぐんぐん伸びる。逆方向に本塁打を量産できるコツをつかめば、30本塁打は軽くクリアすると思います」と分析する。

 新人の2021年から3年連続20本塁打以上をマークしたが、昨年は打率.268、16本塁打、70打点。打率は自己最高だったが、本塁打と打点は数を減らした。甲子園は右翼から左翼に浜風が吹くため、左打者の引っ張った打球が押し戻される形になる。佐藤輝も本塁打性の当たりが風に阻まれるケースが何本も見られた。逆方向の左翼に長打を打てる技術を身につければ、本塁打の数が自然と増えていくだろう。

通算349本塁打のレジェンド


「ミスタータイガース」と称された球団OBの掛布雅之氏は現役時代に349本塁打をマーク。1979年に自己最多の48本塁打を放つなど、3度の本塁打王を獲得した。当時は外野のフェンスの前に金網でラッキーゾーンが設置されたため、本塁打が現在より出やすい環境であったことは間違いないが、左の強打者だった掛布氏がアーチを量産できた理由は逆方向の左翼へ長打を打つ技術だった。自身の打撃理論について、15年に週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「基本的にはホームランの意識はないホームラン王でしたが、最後は、そういう感じでした。ホームランを意識しないとは言っても、打席ではやはりホームランは打ちたいんです。48本打った年は10本以上は狙って打ってます。ヒットの延長がホームランと言う人がいますが、私は逆で、ホームランの短縮がヒットだと思います。この考えは、オールスターのホームラン競争をやったときに、『そうなんだ』と分かりました」

阪神の主砲として活躍し、3度の本塁打王に輝いた掛布


「当たり前ですがホームラン競争はホームランしか必要ないんです。そういうときがあるんですよ、打席でも。ホームラン競争でホームランにならない打球はライナーになることが多い。これが短縮のヒットですよ。ホームランを打つのは間違いじゃないと思いました。それに、ホームランは我慢で打つものなんです。見極めて見極めて打つ。これこそバッティングでしょう。それにしてもホームラン王を3回獲れるとは思いませんでしたね。1回獲ったのなら2回は獲らないとまずいな、という気持ちはありましたが。それと40本台を2回というのは、甲子園を本拠地にする左打者が打ったのですから、これは誇りですね」

 セ・リーグは岡本和真(巨人)と村上宗隆(ヤクルト)が、本塁打王を争うシーズンが20年以降続いている。共に球界を代表する長距離砲であることは間違いないが、打球を遠くへ飛ばす能力は佐藤輝も見劣りしない。今年は広角に本塁打を量産し、進化した姿を見せられるか。コンディションを整えてグラウンドで輝く姿を見たい。

写真=BBM

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