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【大学野球】早稲田大学野球部はなぜ「125」という数字を大切にするのか

 

14回目のアメリカ遠征


2022年から第11代部長を務める日野愛郎部長がマイクを持ってあいさつし、その後、就任8年目の第20代監督の小宮山監督[左]が現状のチームについて語った[写真=BBM]


 早稲田大学野球部は1月24日、大隈記念講堂小講堂で報告会を行った。稲門倶楽部(早稲田大学野球部OB・OG会)のほか野球部の関係者、支援者らが出席した。冒頭で日野愛郎野球部長があいさつした。1901年創部で、今年は125周年の節目。この数字を強調した。

「早稲田大学において125という数字はとても重要な数字であります。大隈重信侯が人生125歳説というふうに唱え、この大隈講堂の塔が125尺であるように、非常に重要な数字である、と。その背景には体育ということ、体を鍛えるということが、知育だけではなく、両輪としてあってこその人徳、徳育になるという教育観、人間観がございました。節制をすれば125歳まで生きられるということは、体を鍛えて、人間が教育の中でどれだけ知育と体育を両方とも獲得していくのかということが大事であるということを考えていたからこそのことであります。一昔前までは、体育が必修であったという時代の皆様もご記憶にいただけるかと思いますけれども、それだけ大学としても体育ということが重要であるというふうに認識している中での125周年ということになります」

 創部125周年の企画として、2月23日から米国遠征を実施する。早大は1905年に初めて実施しているが、当時、日本の単独チームでは初の試みだった。日露戦争の最中ではあったが、早稲田大学創立者・大隈重信氏、初代野球部長・安部磯雄氏の「英断」により実施された背景がある。ベースボールのルーツ国では新たな知見を広げ、技術に加えて、文化を持ち帰り、その後の日本野球界の発展に大きく貢献した。今回は14回目の遠征だ。

「国際経験を積む。そして、アメリカの大学生と文武両道のさまざまな取り組みについて語り合うといった機会も持ちたいと思っております。部員たちが今回の遠征を踏まえ、今後の野球界を背負っていくような経験ができるような場をつくっていきたい。そのために皆様にクラウドファンディングで、さまざまなご支援をいただいたということをあらためまして、部を代表して御礼を申し上げたいと思っている次第です」

 昨年10月10日から12月8日の約2カ月間のクラウドファンディング『早稲田大学野球部 世界へ! アメリカ名門大学と究める文武両道への挑戦』で約1700万円の寄付が集まった。昨今の物価高騰で、遠征費は膨大となっている。学生の負担を軽減させるために実施され、多くの支援、協力を得た。この日は支援者を招待し、感謝を伝える場でもあった。

 早大は昨春にリーグ3連覇を遂げたものの、秋は大学史上2度目の4連覇を逃した。今春は24年春、25年春に続く「春3連覇」がかかる。日野部長は過去の実績を持ち出した。

「春だけで3連覇というのは、歴史上、非常に珍しいことでありまして、最近では1980年代の法政大学以降40年、起こっておりません。過去に4回しかなく、早稲田大学は1948年から51年まで、ちょうど創部50年の年に春4連覇を成し遂げています。どれだけ春、新たなチームを作って優勝するかということを続けることが難しいかということを、歴史が示しているわけであります。どのようにすればそれを成し遂げることができるのか、まさに答えのない問いに、この4年生を中心としたチームが考え抜いて、どうすれば勝てるのかということの、そのプロセスこそがまさに教育だ、と。ぜひ果敢に、このチームで、チャレンジしてもらいたいと思っております」

格闘の日々


大野郁徳主務[新4年・早実]から2025年の活動報告と26年の活動計画があった[写真=BBM]


 日野部長のあいさつを受け、就任8年目の小宮山悟監督が壇上中央でマイクを握った。

「監督として、後ろにいる連中をいかに、六大学で一番優れた選手に育てるか。そこと日々向き合って、格闘しております。本日、午前中に練習をしてまいりました。その時に、あまりにもふざけた練習をして、厳しく、指導してまいりました。その指導が、彼らの頭に胸にどれほど響いたか分かりませんが、私はこの考えを曲げるつもりはありません。春、必ずや天皇杯を奪還し、再び、優勝祝賀会を皆様方の前に、後ろにいる連中が胸を張って出てこられるように、これから鍛えたいと思います。アメリカに行って、帰国するやいなや、沖縄・浦添で二次キャンプがあります。本当の勝負は、この浦添からだと思っていますので、浦添のキャンプで、言い訳ができないぐらい彼らを鍛えたいと思います。帰京し、オープン戦をこなし、4月の中旬に待ちに待ったリーグ戦が始まります。昨年の秋、明治大学に10戦全勝という屈辱を味わわされました。春にはそっくりそのまま彼らに返したいと思います。是非とも皆様方のご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。必ずや、彼らはやってくれるはずです。期待してください。ありがとうございます」

 後方で耳を傾けた学生からしてみれば、背筋が伸びる2分31秒のスピーチだった。厳しい姿勢をあえて公の場で披露したのも、愛情の裏返し。この日は新4年生45人と新3年生以下のメンバークラスが登壇し、2026年シーズンに向けた決意を、それぞれが述べた。

 第116代主将の香西一希(新4年・九州国際大付高)は「今年1年は強い早稲田であり続けるために、とても重要な1年になると思っております。チームのスローガンでもある『どん底からの天皇杯奪還』。これを成し遂げるために、必死に泥臭く戦っていきたいと思っております」と、一言一句に力を込めた。

 早稲田大学野球部には、不変の教えがある。初代監督・飛田穂洲氏が提唱した「一球入魂」。この四文字を貫いた上で「安部球場=神宮球場」をグラウンド上で実践する。練習こそが、心身の鍛錬の場。約1時間の報告会であらためて、学生たちは野球部125年の歴史と伝統を再認識した。

取材・文=岡本朋祐
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