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高校野球リポート

【春季神奈川県大会】神奈川県高野連会長はなぜ、3年生にレガシーの構築を求めたのか

 

チーム全員が一丸となって


神奈川県高野連・朝木会長は出場82チームの代表者に激励メッセージを送った[写真=BBM]


 神奈川春季県大会の組み合わせ抽選会が4月2日、横浜市内で行われた。地区予選を突破した81校に加えて、センバツ出場の横浜高(地区予選免除)と計82校のチーム代表者が出席。1、2回戦の対戦カードが決まった。

 神奈川県高野連の新たな会長に就任した朝木秀樹会長は、抽選を前にした会の冒頭で、部員たちを前にメッセージを残している。

「まずは県大会出場おめでとうございます。この秋から冬にかけてのこの長い期間の厳しい練習を乗り越えた成果が出たんじゃないかなと思います。敬意を表したいと思います」

 2つのお願いを述べた。

「この春の県大会で、それぞれのチームなりの目標、これをしっかり見定めて、その目標に向かって各チームとも頑張っていただきたいということであります。各チームによってそれぞれ目標は違うと思います。優勝するとか、何回戦まで行くとか、まず1勝だとか、いろいろな設定があると思います。その目標に向かってチーム全員が一丸となって、勝利を目指していただければなと思います」

 もう一つは、アップデートだ。

「ここにいらっしゃる皆さんは新3年生の方ばかりかなと思います。皆さん感じていらっしゃるのは、2年間は早かったということだと思うんです。私も経験がありますけど、本当に高校野球の2年4カ月とは、本当に早く過ぎてしまうものです。これから先の3カ月も、本当に早く過ぎます。これまで各チームの先輩方が築いてきた伝統とか、そういったものもあると思うんですけども、皆さんの代なりのレガシー(遺産)、これを残りの3カ月で築いていただければなと思います。今までの先輩が築いたものに、また上乗せされて、各チームの一つの伝統になると思います」

神奈川の熱量は日本一


 神奈川の高校野球は全国屈指の人気を誇る。春、夏、秋の県大会のスタンドの動員を見れば、明らかである。今春は前年優勝校の横浜高がセンバツ甲子園に出場したが、神村学園高との1回戦は、前売りの段階でチケットが完売。あらためて注目度の高さを印象づけた。朝木会長は最後に言った。

「神奈川県の高校野球は、日本一とも言える熱心なファンの方々に応援され、皆さんはとても恵まれた環境でプレーができていると思います。私をはじめ、高野連理事の先生方が、皆さんのサポートを懸命にしますので、皆さん方は、グラウンドで力一杯、自分たちの実力を発揮していただければと思います」

 朝木会長は千種高(愛知)、東大を通じて捕手として活躍。東大では大越健介氏(ジャーナリスト)とバッテリーを組んだ。大学卒業後は都市銀行に就職。各分野でキャリアを積み、50代前半で退職後は麻布学園の事務長、その後は筑波大駒場高の監督を約5年務めた。縁あって23年9月に横浜隼人高の副校長に赴任し、24年4月から校長となり、神奈川県高野連副会長も担い、2年を経て、同会長に就任した。抽選会後、抱負を述べている。

「選手が安心・安全にというか、思い切りプレーできるように運営ができればいいなと思っています。神奈川県はファンの数であるとか、熱量は日本一じゃないですか。この熱心なファンの方々を大事にしなくてはいけないなと思っています」

人としての成長


神奈川県高野連・榊原専務理事は球児たちに「目標設定」を説いた[写真=BBM]


 抽選会後、神奈川県高野連・榊原秀樹専務理事は高校の先生、そして、長く横浜隼人高で部長を務めた指導者目線でこう語った。

「初戦突破を目標とする学校もあれば、ベスト16、ベスト8、ベスト4、あるいは優勝と皆、それぞれ目標があると思います。その目標が達成できなかったからといって、『じゃあダメか』と言ったらそうじゃない。優勝は1校しかできない。負けから学ぶことがある。一つの目標に向かって、皆で力を合わせて一生懸命取り組めば、必ず人としては成長できるわけですから、そこが一番なんです。いろんなことを経験して、人としてもっと成長してもらって、本当に最後、悔いのないような高校野球を送ってもらいたいと思います」

一人ひとりの個性


神奈川県高野連・藤本副会長は新たに導入されるDH制の意義を、分かりやすく説明した[写真=BBM]


 藤本貴也副会長(横浜サイエンスフロンティア高校長)は閉会の挨拶で、高校球児の心に刺さる言葉で、最後を締めている。

「この春季大会、皆さんの学年が一つ上がり、新たな役割、それから責任を担った新しいチームとして歩みを始める公式の舞台となります。これまで先輩方が築いてきた伝統、そして姿勢を受け継ぎながら、皆さん自身の力で新しいチームの形を作り上げていく大切な大会になると思います」

 DH制の導入意義についても触れた。

「選手一人ひとりの個性や力を生かし、野球をより安全に、より戦略的に行うためのものであります。ぜひルールの趣旨を理解し、高校野球らしいフェアプレー、スポーツマンシップを大切にした試合を期待しています。勝敗はもちろん重要ですが、仲間と声を掛け合い、困難に立ち向かい、自ら考え行動する姿、それこそが皆さんを大きく成長させてくれます。この春季大会での経験が夏へ、そしてその先へとつながる確かな一歩となることを願っています」

 大会は4月4日に開幕。決勝は5月3日、横浜スタジアムでの開催が予定されている。計81試合。選手たちはそれぞれの思いを白球にぶつけ、目の前の勝利を目指していく。その全力プレーが、見ている者に活力を与える。

取材・文=岡本朋祐
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