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「ピッチャーで優勝したい」7年前の誓い 西武・高橋光成が挑む逆転V

 

リーグ2位の防御率と安定感抜群


タフなピッチングで先発投手陣をけん引している高橋


 西武の12年目・高橋光成が、2019年以来、7年ぶりとなる逆転リーグ優勝に静かな闘志を燃やしている。ここまで18試合、118回2/3に登板して8勝5敗、防御率2.35。これは同僚・隅田知一郎の2.33に次ぐパ・リーグ2位の数字で、先発投手陣をけん引している。

 とりわけ、首位を走るソフトバンクとの相性は抜群だ。8月27日現在、6試合に登板して4勝1敗、防御率1.17。首位とは6ゲーム差をつけられているものの、残り25試合のうち5試合がソフトバンクとの直接対決となる。逆転優勝を目指すチームにとって、高橋はその行方を左右するキーマンの一人だ。

 投手陣には高橋のほか、平良海馬松本航森脇亮介と、前回のリーグ優勝を知るメンバーがいる。その中でも、高橋は7年前とは明らかに立場が違う。2019年、高卒5年目だった高橋は先発ローテーションの一角として開幕から21試合に登板し、10勝6敗をマークした。チーム最多の12勝を挙げたザック・ニールに次ぐ勝ち星を手にし、自身初の2ケタ勝利を達成した。

 もっとも、防御率は4.51。シーズン終盤には右肘内側靱帯炎症のため9月上旬に登録を抹消され、クライマックスシリーズで登板することもできなかった。チーム防御率もリーグワーストの4.35。それでも、チーム打率.265、756得点、174本塁打を記録した「山賊打線」と呼ばれる強力打線が投手陣を支えた。高橋自身も、5回5失点、8回途中6失点と苦しみながら大量援護を受け、勝ち星を手にした試合があった。

 当時の高橋ら投手陣には、共通する思いがあった。

「いつかピッチャーがチームを引っ張って、優勝したい」

 あれから7年――。

 今季の高橋は、防御率2.35というリーグ屈指の安定感を誇り、文字どおり投手陣の中心を担っている。かつては強力打線に助けられながら手にした10勝だった。しかし今は、自らの投球でチームを勝たせる立場にいる。

「僕の野球観とか、環境も変わる。まあ一概には言えませんが、(当時と)同じ気持ちかと言われたら、ちょっと難しいですけど。でも、やっぱりピッチャーが投げて野球は始まる。そういった中で今、パ・リーグでは1位の(チーム)防御率(2.88)っていうところでは、すごくいい方向には行っていると思うので、このまましっかりピッチャーで勝てる試合を増やしていきたい」

ソフトバンクと直接対決は5試合


 7年前との違いを、高橋自身も感じている。

「あの時はまだ全然主力ではなかった。だから年齢も上の方になってきて、そういった部分で野球ができているのはまた違った感覚ではあります」

 残り25試合で、首位ソフトバンクとは6ゲーム差。数字だけを見れば、決して簡単な状況ではない。それでも、直接対決は5試合残されている。

「まだ優勝が狙える位置にいますし、ホークスとも5試合が残っている。全部勝てば、本当に分からなくなりますし、1試合1試合プレッシャーがかかる中、登板できる機会っていうのも自分を含めて、なかなか経験できるものではないと思う。その状況を楽しんで、その中でみんなで切磋琢磨して、いい投球ができるように。自分自身もマウンドでいい表現ができるようにしたい」

 9月4日からは敵地・福岡でソフトバンクとの3連戦が待っている。まずは、その前の8月28日からの4試合を勝ち越し、福岡決戦を「天王山」に持ち込みたい。

「本当にめちゃくちゃ大事な試合なので、そこで投げる機会があれば、全部を懸けてみたいなっていう気持ちはあります」

 残り25試合。6ゲーム差をひっくり返すためには、自身が登板する試合を落とすわけにはいかない。

「ここまで来たら優勝はもう絶対意識には入ると思うんで、その中でどうパフォーマンスができるかっていうところ。なかなかない経験なので、楽しみたいなと思っています」

 7年前、「いつかピッチャーがチームを引っ張って、優勝したい」と語った高橋。あのころは、まだ強力打線に支えられる若手投手の一人だった。

 しかし今は違う。チーム防御率リーグトップの投手陣をけん引する存在となった。7年前に投手陣が掲げた「宿題」を、自らの投球で果たす時が来ている。逆転Vへの道のりで、高橋が投げる試合は最大でも5試合。その一球一球が、7年越しの思いを現実に変えるための勝負になる。

文=伊藤順一 写真=BBM
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