今季7度目のサヨナラ勝ち

9月26日のロッテ戦は中村剛のサヨナラ打で勝利を飾った西武
西武が9月26日のロッテ戦(ベルーナ)に5対4で今季7度目のサヨナラ勝ち。
西口文也監督の54歳の誕生日を勝利で祝い、連敗を3で食い止めた。パ・リーグ2位を死守し、2位確定マジックは残り5試合で「4」となった。
劇的な逆転劇は、2点を追う9回に待っていた。先頭の
長谷川信哉がロッテ・
横山陸人の前に二遊間へのゴロを放つと、一塁へヘッドスライディング。その際にユニホームの上部が大きく破れるほどの気迫を見せ、まず出塁した。続く
外崎修汰も三遊間を破る左前打でつなぎ、無死一、二塁とチャンスを拡大した。
ここで西武ベンチは、ここまで3打数無安打だった七番・
石井一成に送りバントを指示することなく、強硬策を選択。石井はその期待に応え、左中間を破る2点適時三塁打を放ち、4対4の同点に追いついた。
沸騰するレフトスタンド。さらに無死三塁の好機で代打に送られたのは、25年目のベテラン・
中村剛也だった。横山のスライダーを三塁線へはじき返すと、打球は相手三塁手・
寺地隆成のグラブを弾いた。三塁走者の石井が歓喜のホームイン。2点差を追う9回に怒涛の4連打で逆転に成功し、3位転落の危機を免れた。

中村剛とともにお立ち台に上がった石井[右]
同点三塁打を放った石井は「ハセ(長谷川)とトノさん(外崎)がいい形でつないでくれたので、なんとか無駄にしないよう強い気持ちでいきました。(西口文也監督)54歳おめでとうございます。(この勝利は)かなり大きいですけど、この後も試合があるので、次も勝てるように準備したいです」と振り返った。
自身が持っていたサヨナラ打の球団最高齢記録を41歳8カ月から43歳1カ月に更新した中村剛も「本当にみんながつないで、石井一成が同点タイムリーを打ってくれた。ちょっと僕のあたりはあまりよくなかったんですけど、うまいこといいところに飛んでくれたなと思います」と振り返った。「最近、なかなかいい戦いができていなかったんで、今日の勝ちを明日以降につなげていきたい」と語った。
西口監督のバースデー勝利

誕生日にサヨナラ勝利をプレゼントされた西口監督は笑顔
若い選手の多いチームは9月に入り、この試合まで5勝10敗と失速。優勝した
ソフトバンクには、CSファイナルで2勝のアドバンテージが生じる10ゲーム差以上をつけられ、巻き返しの糸口をつかめないまま終盤戦を迎えていた。
そんなチームにとって、この時期は一つでも多く勝つために、チームが団結するきっかけをつくることも重要になる。この日は、くしくも西口監督の54歳の誕生日。試合前の円陣では、声出し役を任された
岸潤一郎から「勝利のプレゼント」の確認が行われていた。
西口監督は試合後、選手から贈られたバースデー勝利に「よかったです。最年長の中村が決めてくれました。どんな形でもいいから決めてくれ、と思っていました」と笑顔を見せた。無死一、二塁で送りバントをさせず、強硬策に出た石井についても「一成を信じて、打たせに行ってしっかりと結果を出してくれたので、よかったです」と振り返った。
また、攻守にガッツあふれるプレーでチームの起爆剤となった長谷川については「その前のセンターに落ちるかというプレー(ダイビングキャッチ)が大きかったと思いますしね、最後も何とかしたい、という気持ちが前面に表れていました」と評価。その一方で「9回に4連打? もう少し何とか早い回でしてほしかった」と本音も交えた。
「誰一人あきらめていない」
3年連続Bクラスから再建中の西武にとって、残り5試合は単なる消化試合ではない。2位を確定させ、本拠地で4年ぶりのCSを迎えるための戦いであり、若い選手たちが短期決戦の緊張感を経験するための貴重な時間でもある。球団内には「チーム力の底上げには、秋季練習を長くするよりも、短期決戦の経験を積ませることの方がはるかに有益」という声がある。
この日の9回に生まれた4連打は、まさに今季の西武が積み重ねてきたものを象徴するような攻撃だった。長谷川が体を張って出塁し、外崎がつなぎ、石井が期待に応え、中村剛が最後を決めた。
「誰一人あきらめていません」
石井の言葉に、今の西武の姿が重なる。
2位を確定させ、本拠地でCSを戦う。そのための残り5試合は、来季以降のチーム力を底上げするための経験にもなる。3年連続Bクラスからの再建。その先にあるチームの成長は、こうした真剣勝負の中でこそ培われていく。
西口監督への劇的なバースデープレゼントを、次の5試合、そしてCSへとつなげられるか。再建途上の西武にとって、ここからの戦いそのものが未来への財産になる。
文=伊藤順一 写真=戸加里真司