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エース級の素材も大きく負け越し 工藤監督就任の中日で「大化け期待の左腕」は

 

新指揮官が訴える野球に向き合う重要性


今季は開幕から先発ローテを守った金丸。しかし、負け数が12を数えたのは反省点だ


 中日の工藤公康新監督が就任し、10月15日に名古屋市内のホテルで記者会見を行った後にナゴヤ球場に向かった。初対面で背筋を正して耳を傾ける選手たちに対し、指揮官は野球に向き合う姿勢の重要性を訴えた。

「自分はこうなりたいこうしたい、こんな成績を残せるように、こんな選手になってこうやって活躍したいんだと夢を語ってください。何より大事なのはそこです。それが分からないとミスコミュニケーションになってしまったり、やらされるという練習になっちゃうので。ただ、プロというのは厳しい世界で、長くやってほしいけど毎年ドラフトがあったり、いろんな選手がトレードで入ってきたりとかすると、毎年必ず皆さんも見たと思いますけど、選手が辞めていきます。辞めていった選手のことを見てください。自分には関係ないとは思わないでください。ああならないために、悔いが残らないために、自分たちのすべきことをしっかり僕はやってほしいと思っています」

 この時期は来季の戦力構想から外れた選手たちがチームを去る。中日はセットアッパーとしてブルペンを支えた福敬登、ドラフト1位で入団したブライト健太らの退団が決まった。限られた野球人生で、大輪の花を咲かせられるか。この投手もターニングポイントを迎えている。来季にプロ3年目を迎える金丸夢斗だ。

規定投球回到達は実現


 今季は25試合登板で5勝12敗、防御率2.91。侍ジャパンのメンバーとしてWBCに出場し、開幕後は先発ローテーションを一度も離脱することなく、160回2/3を投げて自身初の規定投球回数をクリアした。

 金丸自身は「一つの目標だった規定投球回数に到達することができました。達成後は『投げたな』というぐらいであまり実感はありませんでした。ただ、1年間しっかりと一軍のマウンドで投げ続けられた。今年はシーズン通して、ウエート・トレーニングを落とすことなくできたので、そこは成長した部分。出力もあまり落ちていなかったですし、平均球速も昨年よりも高かったので、トレーニングの効果かなとは僕は思っています。あとは無理しないところは無理しない、追い込むところは追い込むといった感じで、自分では感じない疲労とも相談しながらやって来られました。目標はもっと上。徐々にレベルアップしていきたいです」と週刊ベースボールの取材で振り返っていた。

 ただ、球界のエースになれる素材であることを考えると、白星と黒星の数字が逆になってもらわなければ困る投手だ。打線の援護に恵まれない登板があったことは事実だが、大きく負け越した理由はそれだけではない。先制点を奪われたり、味方が得点を奪った直後に失点したりするケースが目立った。

「勝てる投手」に進化へ


 今季最終登板となった9月25日のヤクルト戦(神宮)が象徴的だった。2点のリードをもらった初回に5本の集中打で4点を失うと、同点に追いついた後も踏ん張れない。4回一死一、三塁で鈴木叶に勝ち越しの中前適時打。5回10安打5失点と試合を作れず、自身7連敗でリーグワーストの12敗目を喫した。

 左腕から繰り出される最速154キロの直球、キレ味鋭いスライダー、落差の大きいスプリットと投げる球の質は間違いなくいい。新人の時に比べて制球力も上がっている。井上一樹前監督は「ユメは将来的にウチのエースになってもらわないと困る投手」と期待を込めていたが、好投から一転して突如崩れたり、打たれ出したりすると止まらなくなる場面が何度も見られた。「勝てる投手」に進化するため、レベルアップを図る必要がある。

 工藤監督は同じ左腕で通算224勝をマークし、ソフトバンクの監督時代は千賀滉大(現メッツ)をエースに育て、東浜巨、石川柊太(現ロッテ)も最多勝のタイトルを獲得するなど投手の育成に定評がある。金丸は名将の下で多くの学びがあるだろう。来年は大きく飛躍できるか。チームの命運を握る投手の一人であることは間違いない。

写真=BBM
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