
4月18日の日本ハム戦[メットライフ]で西武は0対8の劣勢から8、9回で逆転勝ち
たっちゃんの置き土産
師走のバタバタの中ですが、いろいろあって、このたび大島家、引っ越しをしました。
大量の荷物の片づけも大変でしたが、一番つらかったのは、祭(=11歳トイプードル♂)とのしばしの別れです。やむなく何日か預けたのですが、その間、テーブルの上に写真を置いて“心は一緒にいるよ。もうすぐ迎えに行くよ”と、語りかける毎日でした。祭ロス、半端なかったです。
では、前回のセ・リーグに続き、今回は2018年のパ・リーグを振り返ってみようと思います。
パは西武の10年ぶりの優勝でしたが、あの山賊打線は、ほんとすごかったですね! ホームランは
ソフトバンクのほうが少し上でしたが、チーム打率.273だけじゃなく、132盗塁もリーグトップ。打って走ってで、総得点792は、2位のソフトバンクに102点差です。
野球は投手とよく言われます。いくら強力打線を擁するチームでも、投手陣がしっかりしていないと、なかなか優勝はできません。でも、西武の先発投手で計算できたのは、
菊池雄星と
多和田真三郎くらい、リリーフもパッとしない。せめて守備が堅ければとも思いますが、結構、エラーはありました。ただ、あの打線は、投手のKOやエラーで失点しても、すべて何事もなかったかのように逆転して勝つだけの力があった。
メットライフの盛り上がりもすごかったですね。観客動員も実数発表以降では最高だったらしいですが、それも分かります。だって、あれだけ打ったら見ているほうも楽しいでしょう。しかも、いくら点差がついても最後まで球場を離れられません。10点取られても11点取って勝つ野球をしていましたからね。
西武打線のすごさは、外国人選手だけとか四番だけではなく、ほとんど全員が、強烈なスイングをしていることです。
秋山翔吾、
浅村栄斗、
山川穂高、
森友哉……
外崎修汰も結構ホームランを打っていますし、
源田壮亮は足で二塁打、三塁打がある。ベテランの
栗山巧がいいところで打って、おかわりこと
中村剛也も忘れたころにドカンです。相手投手は息をつく暇もないでしょう。
あれだけ振ると投手は怖いですよ。見ていると、長打を警戒し慎重になってコースを狙い、カウントを悪くして最後は甘いコースに投げてドカン。しかも、それが1人じゃなく、つながっていく。投手は1イニング投げただけで、身も心もくたびれきってしまうんじゃないですか。
シーズン前から西武の強力打線は分かっていましたが、それを持ってしても優勝は難しいと思わせたのが、17年の覇者ソフトバンクでした。
しかし、いざ開幕すると故障者が多く、波に乗れなかったですね。特に投手陣。
サファテ、
岩嵜翔とリリーフ陣に故障者が出て、先発陣も
東浜巨らが不振で、規定投球回到達者はゼロ。逆にいえば、それでも2位で乗り切り、ポストシーズンを勝ち上がって日本一ですから、このチームの選手層の厚さはすごいですね。
一番、株を上げたのが、甲斐キャノンこと
甲斐拓也でしょう。僕は肩の強さもそうですが、スローイングのコントロールに感心しました。ドンピシャのコースにバシバシ決まります。
広島との日本シリーズの6連続盗塁阻止は、日本一の最大の要因と言っていいかもしれませんね。
甲斐を見ていて、もう一つ感じたのは、ソフトバンク守備陣のレベルの高さです。捕球後の内野手のタッチの速さ、投手のクイックの徹底、さらに言えば、二番手捕手の
高谷裕亮の存在も大きいと思います。彼がいるから甲斐は気をゆるめることができず、技術向上にもつながったのは間違いないと思います。
あとは、今季限りで退任した
達川光男ヘッドコーチの貢献。さすがたっちゃん、いい置き土産を残したね。
摩訶不思議なオリックス
3位の日本ハムについては、正直、開幕前は、それほど高い評価はしていませんでした。エンゼルスに移籍した
大谷翔平をはじめ、主力が一気に抜けましたからね。ただ、ほんとしぶとかった。
栗山英樹監督だけでなく、野球をよく知っている選手がたくさんいたからでしょう。ここぞという場面で、相手が嫌がることが自然にできるチームでした。
逆に4位の
オリックスについては、正直、現場に聞いてみたいくらいです。「何で、君たちは勝てないんだ?」って。ほんと、摩訶不思議なくらいです。確かに西武、ソフトバンクの戦力は抜けていましたが、オリックスも、それに続く力はあったと思います。新四番・
吉田正尚、豪快でええやないですか! 外国人選手も勝負強くてええじゃないですか! 投手陣も頭数はしっかりそろっていたじゃないですか! それが今年だけじゃないけど、毎年優勝争いにも絡めないって、どうなっているのかな。ほんと不思議です。
逆に、5位の
ロッテは大健闘でしょう。新監督の下で張り切った部分はあったと思いますが、長打力がまったく期待できない戦力の中で、走力で補いながら前半は頑張っていました。ただ、夏場で完全に勝利へのスタミナが尽きましたね。それでも前年の球団ワースト87敗からのスタートでしたし、
井口資仁監督1年目に拍手を送っていいと思います。
問題は、次のシーズン、2年目です。もう「よく頑張った」では終われません。若手の成長待ちと言っても限界がありますし、まずは今シーズンで明らかになった課題をオフにどう補強するかでしょう。その点ではフロントが広島でFA宣言した
丸佳浩獲得に動いたのはよかったと思います。球団も勝ちたいと思っているんだという選手たちへのメッセージになったと思います。
巨人に行ってはしまいましたが、20億円とも言われた丸の獲得資金で、もっとすごい外国人選手を取ればいいんです……って、体重133kgの
ケニス・バルガスですか。当たればデカいの打ちそうですね……。まあ、ホームランラグーンが最大の補強かもしれません。間違いなくホームランは増えるでしょうからね。
最下位は
楽天か……。西武、ソフトバンクに大きく負け越し、ほかにはそれなりに戦った1年でした。楽天が、パの上位と下位の差を広げさせてしまった張本人です。
17年は外国人選手の活躍で台風の目になりましたが、外国人選手頼みのチームというのは、そこがダメなら一気に落ちてしまいます。歴史は繰り返すという1年でした。
ただ、オフには西武の浅村栄斗をはじめ、思い切った補強をした。来季は、今年の分まで頑張って、しっかりパを盛り上げてほしいですね。
PROFILE 大島康徳/おおしま・やすのり●1950年10月16日生まれ。大分県出身。右投右打。中津工高からドラフト3位で69年
中日入団。3年目の71年に一軍初出場の試合で本塁打を放つ。76年にはシーズン代打本塁打7本の日本記録。翌77年に打率.333、27本塁打の活躍で不動のレギュラーとなり、79年にはリーグ最多の159安打、36本塁打、リーグ3位の打率.317の大活躍。83年には36本塁打で本塁打王にも。88年に日本ハムへ移籍、90年には史上最多の2290試合を要して2000安打に到達した。94年限りで現役引退。2000年から02年まで日本ハム監督も務めた。現役通算成績2638試合、2204安打、382本塁打、1234打点、88盗塁、打率.272。