
タトゥーの虎部分は見えず[写真=大泉謙也]
阪神に匹敵する打線
5月7日から首位の
阪神を最下位の
DeNAが、本拠地ハマスタに迎えての3連戦。勢いに乗る阪神に、あっさりのみ込まれるかと思われたDeNAだが、初戦は12対6と打ち勝った。
打線は今、一番・
桑原将志で、クリーンアップが
オースティン、
佐野恵太、
牧秀悟、六、七番に
ネフタリ・ソト、
宮崎敏郎でしょ。ソト、オースティン、桑原の復調でつながりも出始めたし、押された局面を一気に変える豪快な一発も出ている。この日も阪神の強力打線相手に、まったくそん色がなかった。
DeNAは開幕から大きく出遅れ、
三浦大輔監督にすれば「4月はなかったことにしてくれないか」と言いたくなるような散々な成績だった。最大の要因は外国人の来日遅れだ。特に打線のバランスが完全に崩れ、新人の牧がいくら打っても勝ちにつながらなかった。
来日から最短に近い形でソト、オースティンが復帰してからも、2人はしばらく打てなかったが、これは当然でしょ。メジャー・リーガーもそうだけど、外国人選手は開幕に100%では来ない。70、80で入り、試合をしながら上げていく。だから外国人選手が主軸にいた
ラミレス監督時代から、なかなか春先はエンジンのかからないチームだった。そうは言っても、今年はそれが深刻だったけどね。5月9日現在で借金13は優勝を狙うには重い。
ただ、今の打線の状態を考えればAクラスに食い込む可能性は十分にある。そのために絶対に必要なのが先発投手だが、これが最大の課題でもあるんだ。
濱口遥大がやっと調子を上げてきたが、現時点ではほかは計算できず、完全なコマ不足。二軍で調整中の
今永昇太は、いずれ上がってくるだろうが、まだ二、三枚、足りないなとは思っていた。
ベイスターズの夏?
翌8日、ABCラジオの仕事でハマスタに行った。関西向けだから、一番の注目はナマの“サトテル”(
佐藤輝明)だが、密かな注目はDeNAの新外国人、先発の
ロメロだった。
150キロ超のムービングボールが武器という触れ込みだったが、この日は明らかな調整不足で、そこまでの球威はなく、クイックもうまくできず、走者が出て崩れるシーンもあった。ただ、これはもう仕方ないでしょ。新外国人投手は、たいていできないんだから。それを必死になって投手コーチが教える、というのが春のキャンプの風物詩でもあったけど、今年はその期間がなかったしね。
じゃあロメロが時間がかかるのかと言えば、そう思わなかった。5回を82球4失点で敗戦投手だったが、手元で微妙に動く真っすぐは、まだまだ速くなるなと思ったし、キレもあった。変化球もツーシーム、スライダー、タテ変化と多彩。カッカして自滅するタイプとも思わなかったし、先発ローテには入ってくるだろう。
そう言えば、腕に虎のタトゥーが入っているらしいが、8日は長いアンダーシャツで隠れていた。暑くなって汗が出始め、アンダーシャツが短くなったらタトゥーがはっきり見え……、いや、違う。球速も出て、虎キラーと呼ばれるようになるかもしれないね(ちなみに俺はタトゥー肯定派ではありません)。復帰間近の今永もそうだけど、こうやって打線の状態がいいうちに先発投手陣が戻ってきたらDeNAが台風の目になるかもしれないよ。
だって夏と言えば、海。海と言えばサザン、サザンと言えば湘南で、湘南に一番近いのがベイスターズでしょ。夏が来た、ベイスターズも来た、いや、来るかもしれない……くらいかな。
PROFILE 川口和久/かわぐち・かずひさ●1959年生まれ。鳥取県出身。左投両打。鳥取城北高からデュプロを経てドラフト1位で81年に
広島入団。3年目の83年に先発の一角を確保し、86年からは6年連続で2ケタ勝利を挙げた。95年にFAで
巨人へ移籍、98年限りで現役引退。巨人のコーチも務めた。通算成績435試合登板、139勝135敗4セーブ、防御率3.38