巨人の球団創設90周年のメモリアルイヤーを記念して、栄光に彩られた歴史、数多のスターたちを網羅した『ジャイアンツ90年史』が6月3日に発売される。そこで誌面に登場する豪華な4人&1組のロングインタビューを、一部抜粋した週べ特別編集版にて「ちょっと出し」でお届けしよう。5回目は坂本勇人と岡本和真のクロストークから。 勝ちへの執念

現在の巨人を引っ張る坂本[右]、岡本
――2022年オフに坂本選手から岡本選手へキャプテンが引き継がれました。
岡本 勇人さんがキャプテンから退かれるなら、もちろん自分も候補に入るだろうなとは思っていましたし、誰がやるのが一番いいのかは分からなかったので、指名されたからにはしっかりやらないといけない、ということは思いました。
坂本 和真しか、正直いなかったと思うよ。和真からしたら「そういうタイプじゃないのに」って思ったかもしれないけど。でも、いい意味で和真は変わったよね。もちろん野球に対する取り組み方とか、ここ何年かで変わってきたなとは思っていたんだけど、それがキャプテンになって、またさらにいい方向に変わっていってるなというのはすごく感じている。
岡本 そういうふうに言ってもらえるとすごくありがたいですし、僕自身もやらないといけない、という気持ちがさらに強くなります。
坂本 言葉で引っ張るというタイプじゃないけど、今年なんかは特に自分がチームを引っ張っていくという姿勢が普段から見えるからね。去年から今年で、またさらにちょっと変わった。
岡本 キャプテンだからどうというだけではなくて、2年連続Bクラスというのは僕らにとって、チームにとって名誉なことではないですから。歴史的にそうした経験の少ないチームが、自分たちの時代にそれをしてしまったというのは情けないことなので。今年はやり返さないといけないという気持ちはありますね。
坂本 そうだね。そのうえでキャプテンとしての重圧や責任がある。僕もキャプテンになる前は自分の結果で一喜一憂することもあったけど、キャプテンになって時間がたってくると、たとえ自分がまったく打てなくて、ミスをしたとしても、チームが勝てば素直に喜べるようになったからね。
岡本 チームを勝たせる、チームを引っ張るという気持ちは、もちろん強くなっています。
坂本 僕が若いときからそういうメンタルでやれる環境があった。(
高橋由伸)由伸さんや阿部(
阿部慎之助)さんといった周りの先輩たちも、自分のことよりチームが勝ったら素直に喜ぶ人がすごく多かったから。負けた試合のあとの雰囲気を含めて、まずチームの勝ち負けが一番にあった。それは今もだけど、自分だけが良ければいいというチームでは絶対にないよね。
巨人の伝統とは
――そうした部分も含めて、ジャイアンツの伝統とは何でしょうか。
岡本 伝統ですか……。ヒゲをそる、とかですかね……。
坂本 そういうことじゃないと思うよ。確かにそれもそうだけど(笑)。
岡本 「常勝軍団」って言われる中でずっとやってきているというところはありまよね。「勝つ集団」であるべきだって。それが伝統なのかな。僕も知らない時代ですけど、ON、V9という時代があって、そこから続いてきた伝統というものは、ジャイアンツという球団にいると節々に感じる部分はあります。
坂本 やっぱり長嶋(
長嶋茂雄)さん、王(
王貞治)さんの時代にV9という今では考えられないような「常勝軍団」になった。その記憶や記録はもちろんファンの方の中には残っていて、今でも強いジャイアンツが見たいと思ってジャイアンツファンでいてくれる人もいっぱい、いると思う。それを選手たちも分かっているから、「勝ちへの執念」が生まれる。
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