新年の段階で2021年は「高校生ドラフト」となりそうな様相を呈している。昨秋の時点でスカウト戦線に名前が浮上している選手が多く、この冬の鍛錬次第では、春から夏にかけて大ブレークの予感。今後の実績により変動する番付を編成していく。 2021ドラフト番付
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※△は投手は左投げ、野手は左打ち
【ドラフト番付評】
横綱には市和歌山高の右腕・
小園健太と大阪桐蔭高の左腕・
松浦慶斗を配置した。スケールの大きな大型投手で、高い将来性を見込んでの評価。大関には筑波大・
佐藤隼輔と東北福祉大・
椋木蓮の大学生2人。また、中学時代からライバル同士だった大阪桐蔭高・
関戸康介(明徳義塾中)と高知高・
森木大智(高知中)も同番付だ。関脇の中京大中京高・
畔柳亨丞も上位陣にそん色なく、天理高・達
達孝太も193センチ85キロの恵まれた体格で大化けする可能性を秘める。早大・
徳山壮磨、三菱重工West・
森翔平の関脇2人も好素材として注目。三菱自動車倉敷オーシャンズ・
廣畑敦也、岐阜第一高・
阪口樂の小結までの12人が、ドラフト1位候補の予想である。 (上位12人)
逸材として脚光浴びる6人の高校生投手
1月9日にスカウト会議を開いた
広島は各担当スカウトから254人をピックアップ。
苑田聡彦スカウト統括部長は「楽しみなドラフトになりそうです」と語った。実際の自チームの補強ポイントは、春のキャンプにおける現有戦力の動きを見てからになるが、全体の顔ぶれとして「映像のある選手は見ましたが、有力高校生が多い印象です」と語る。
ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスクは、さらに突っ込んだ印象を語る。「昨年の段階で、具体名が出てきており、各地区に奥川(
奥川恭伸、星稜高-ヤクルト1位)、佐々木(
佐々木朗希、大船渡高-
ロッテ1位)クラスになり得る素材がいると、担当スカウトからは報告を受けています」。特にアツいのが、近畿地区の高校生である。
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2021年の高校生は19年のドラフトで4球団が1位競合した大船渡高・佐々木[ロッテ]、3球団が重複した星稜高・奥川[ヤクルト]に匹敵する「素材」が集まる。左上から市和歌山高・小園、大阪桐蔭高・松浦、同・関戸[写真=BBM]
市和歌山高の152キロ右腕・小園健太、大阪桐蔭高の150キロ左腕・松浦慶斗と154キロ右腕・関戸康介、天理高の145キロ右腕・達孝太だ。
オリックス・
牧田勝吾編成部副部長は「関西球団としては、しっかりマークしていかないといけない」と、鼻息が荒い。この4人に並ぶポテンシャルとして評価されているのは、高知高の151キロ右腕・森木大智、中京大中京高の151キロ右腕・畔柳亨丞と続く。さらには明桜高の150キロ右腕・
風間球打に、投打の二刀流で活躍する岐阜第一高・阪口樂は「
大谷翔平二世」の呼び声が高く、左打者としての潜在能力が評価されている。
橿渕スカウトグループデスクが「奥川&佐々木級」と語るのは、あくまでもノビシロを期待しての評価だ。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言により、最も成長すると言われる4、5月が多くの学校で活動自粛となった。冬から春、春から夏という経過観察の場が奪われたことは、高校生にとって気の毒だった。
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左から高知高・森木、中京大中京高・畔柳、天理高・達[写真=BBM]
一方、秋のリーグ戦で視察機会を得られた大学生に1位選手が8人という傾向(高校生3人、社会人1人)となった。なぜなら、前年からの継続的な視察により、最終
ジャッジが下せたからだ。すなわち、公式戦開催が、高校生の対象選手にとってアピールの場になることは間違いない。
大学生は今年も粒ぞろい。早くも1位候補と言われているのは、筑波大の151キロ左腕・佐藤隼輔だ。大学2年時には侍ジャパンでプレーし、日米大学選手権優勝に貢献。国立大出身のドラフト1位となれば、1997年に入団した筑波大・
杉本友(元オリックスほか)以来となる。
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筑波大の151キロ左腕・佐藤は2年時に日米大学選手権で優勝に貢献。史上2人目となる国立大からのドラフト1位指名を狙う[写真=川口洋邦]
東北福祉大の153キロ右腕・椋木蓮も評判が高い。このほか、東京六大学では大阪桐蔭高時代からバッテリーを組む早大の151キロ右腕・徳山壮磨と強肩捕手・
岩本久重、慶大の右スラッガー・
正木智也、明大の俊足外野手・
丸山和郁、法大の150キロ右腕・
三浦銀二と151キロ左腕・
山下輝も好素材だ。東都大学では中大・
古賀悠斗、国学院大・
福永奨と好捕手がいる。
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関大から入社2年目となる三菱重工Westの森は社会人で評価の高い左腕。統合され、新たに編成したチームを背負う[写真=毛受亮介]
社会人では三菱重工Westの左腕・森翔平、三菱自動車倉敷オーシャンズの154キロ右腕・廣畑敦也が楽しみな存在だ。