昨年は決勝進出も同地区のトヨタ自動車に敗れた。あと一歩届かなかった、34年ぶりの頂点を今夏こそ──。新指揮官の下、確かな手応えとともに大会を迎える。 取材・文=杉園昌之 写真=兼村竜介、BBM <躍進に欠かせぬ KEY PLAYER>大本拓海
自信みなぎる四番・捕手 申原直樹新監督に攻守の要として信頼を寄せられ、今季からは四番を任されている。先発マスクをかぶる大本は打線をけん引する一人としても、自覚が芽生えたという。
「自分のバットで決めるというよりも、場面に応じて自分のできる仕事を果たさないといけない」
打席では初球から積極的に打ちにいくことを意識している。「後手に回ると、あっという間に試合は終わってしまうので」と短期決戦を見据えて、1打席で結果を残すために練習から集中力を高めていた。守備になると、頭を切り替えてリードに神経を使う。予選ではピンチで集中力をグッと高めて、瀬戸際で踏ん張ってきた。打ち勝つよりも競り勝つ。「今年はどこと戦っても勝てると思っています」と自信をのぞかせる。
PROFILE おおもと・たくみ●1997年6月18日生まれ。静岡県出身。178cm88kg。右投左打。掛川西高-立命大-ヤマハ。入社5年目。
<野球部を支える頼もしき存在>ヤマハ吹奏楽団

ヤマハ野球部提供
一体感を生む“音” 攻撃時になると、エースの佐藤廉はいつもベンチの端に座り、試合を見ながら耳を澄ます。「音楽素人の僕が聞いても、ヤマハの吹奏楽団の演奏はすごいので。『ランナー』の曲が大好きでめちゃくちゃテンションが上がるんですよ」。特に音が反響する東京ドームは格別。開幕前から心を躍らせていた。打線の軸となる永濱晃汰は打席に立つ前に耳を傾けるという。「ネクストバッターボックスであの応援を聞くと、リ
ラックスできるんです」。目に見えない力があるのかもしれない。その答えを知っているのは入社13年目を迎える主将の川邉健司だ。「ヤマハの応援には一体感があるので。一緒に戦ってくれている。だから特別なのかなと」。今年もまた会社一丸となって戦うつもりだ。
今大会出場の歩み

1、2回戦は2点を先行されるも逆転勝利。粘り強い戦いを披露した[ヤマハ野球部提供]
【東海地区二次予選】 ▼第1代表決定トーナメント
1回戦 〇6 - 2 王子
2回戦 〇7 (10) 3 西濃運輸
3回戦 〇3x - 2 Honda鈴鹿
代表決定戦 〇4x (10) 3 三菱自動車岡崎
※()数字は延長回数 TEAM DATA
●所在地/静岡県浜松市
●創部/1958年
●部員/43人
●都市対抗実績/優勝3度(1972、87、90年)
●部長/杉山俊道
●監督/申原直樹
●主将/川邉健司
●日本選手権実績/出場27回、優勝1度(2016年)