チームの未来を担う選手の発掘をするために地道なスカウティング活動を行っているスカウトたち。2025年シーズンの12球団スカウト布陣をチェックしながら、今年の補強ポイントを探っていこう。 ※表内の主な担当選手のポジションはドラフト当時 巨人・組織改編で協力態勢を強化
編成部門強化を目的としてスカウト部門の組織を大幅に改編。プロとアマチュアを分けることなく国内スカウトをすべてスカウト部に集結させた。ディレクター、スーパーバイザーの両役職を新設し、ディレクターに榑松伸介氏、昨季は二軍ヘッドコーチを務めていたアマ球界に太いパイプを持つ安藤強氏をスーパーバイザーに配置することでプロ、アマチュアのスカウティングをこれまで以上に円滑にし、協力態勢をさらに強化していく。また、
巨人、社会人のHondaなどでコーチだった
木村龍治氏、
ヤクルトでスカウト経験を積んだ
斉藤宜之氏という球団OBを新たに招聘し、スカウト陣全体に厚みも持たせている。
【2025補強ポイント】四番&エース候補が必要不可欠となる 近年は即戦力重視の補強で、2022年ドラフト1位入団の
大勢、22年ドラフト4位入団の
門脇誠など着実に成果を上げている。その一方で、今後は四番の
岡本和真、エースの
戸郷翔征らのMLB移籍も視野に、23年ドラフト1位入団の
浅野翔吾のような将来のチームを背負う看板選手を意識した四番&エース候補の獲得が必要不可欠だ。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★
水野雄仁 ☆
高木康成 ◎榑松伸介
(新)○安藤強
●
織田淳哉[アマチュアスカウトチーフ]=19[2]
太田龍(JR東日本・投)
(新) 木村龍治[全国]
(新) 斉藤宜之[全国・独立リーグ]
武田康[チーフスカウト、九州・沖縄]=18[6]戸郷翔征(聖心ウルスラ学園高・投)
森中聖雄[関東・北陸]=24育[4]
田上優弥(日大藤沢高・内)
●大場豊千[関東]=25[1]25
石塚裕惺(花咲徳栄高・内)
木佐貫洋[関東・東海]=18[3]
直江大輔(松商学園高・投)
青木高広[関東・北海道・独立リーグ]=25[4]
石田充冴(北星学園大付高・投)
円谷英俊[関東・東北]=24[1]
西舘勇陽(中大・投)
岸敬祐[近畿・四国]=22[1]翁田大勢(関西国際大・投)
柳舘俊[近畿・中国]
渡辺政仁 ●
柏田貴史=18[1]
高橋優貴(八戸学院大・投)
鈴木アントニー宏昌
★=編成本部長代理スカウト担当、☆=編成副本部長プロ担当、◎=スカウト部次長スカウトディレクター、○=スカウト部参与スカウトスーパーバイザー、●=スカウト部主任 阪神・1人退団も基本方針は変更なし
今季のドラフト1位・
伊原陵人、2位・
今朝丸裕喜を担当した
熊野輝光スカウトが1月1日付けで退任。それに伴い、プロスカウトも兼任していた
岡本洋介氏がアマチュアスカウトに専念となった。担当地域などは、今回は公表してないが、従来どおりのスカウト方法で、チームに必要なピースに当てはまる選手をチェックしていく。チームに欠かせない右の大砲と、即戦力&将来性のある投手陣という基本線を軸に来秋のドラフトへ始動している。
【2025補強ポイント】現レギュラー陣の後継者探しも 2023年の日本一以降、レギュラー陣が完全に固定された。今後は、その後継者探しも重要なドラフト戦略へとなっていく。エースと四番候補を軸に素材発掘に尽力していくが、それ以上に各ポジションでそれぞれの候補を見い出していく時期にも入ってきている。全体的なバランスを見てのスカウトも行っていきそうだ。
■編成&スカウト一覧 氏名=主な担当選手 ★竹内孝行
☆
畑山俊二 (新)◎東辰弥
山本宣史=22[1]
森木大智(高知高・投)
平塚克洋=17[1]
大山悠輔(白鴎大・内)
葛西稔=18[1]
馬場皐輔(仙台大・投)
吉野誠=24[1]
下村海翔(青学大・投)
筒井和也=19[6]
湯浅京己(BC/富山・投)
前田忠節=25[3]
木下里都(KMGホールディングス・投)
岡本洋介
★=球団本部副本部長(アマスカウト担当)、☆=球団本部次長(統括スカウト)、◎=球団本部課長(編成ディレクター) DeNA・新体制はトップに若き敏腕
新進気鋭のトップを実績・経験豊富なスカウト陣が支える。編成のトップだった
進藤達哉氏がコーチとして現場復帰したことで、36歳の長谷川竜也氏がスカウト部部長から編成部部長に。経営戦略部門で培った戦略的かつ多角的な視点で選手を見極める。また、
佐野恵太や
牧秀悟らを担当した
河原隆一氏がプロスカウトから復帰し、
度会隆輝を担当した
横山道哉氏は中国・四国担当として指名が続く四国ILもカバー。適材適所で最適解を求めていく。
【2025補強ポイント】リリーフ陣の厚み増すパワーピッチャーを 伊勢大夢の先発転向や何でも屋を担った
上茶谷大河、
濱口遥大の移籍もあり中継ぎ陣は手薄。加えて
中川颯や
佐々木千隼など球のキレやタイミングを外す投球術が武器の投手も多く、剛腕でねじ伏せる投手は補強ポイントだ。192cmの長身から投げ込む明大右腕・
高須大雅や東北福祉大の最速164キロ右腕・
堀越啓太らが候補に挙がる。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★長谷川竜也
☆八馬幹典=18[1]
東克樹(立命大・投)
(復)河原隆一=21[2]牧秀悟(中大・内)
横山道哉[中国・四国]=24[1]度会隆輝(ENEOS・外)
稲嶺茂夫[関東・東北]=20[1]
森敬斗(桐蔭学園高・内)
篠原貴行[九州]=24[5]
石田裕太郎(中大・投)
河野亮[北海道・東北]=25[2]
篠木健太郎(法大・投)
永池恭男[東海]
藤田和男[近畿]=25[1]
竹田祐(三菱重工West・投)
木塚敦志[北陸]=25[6]
坂口翔颯(国学院大・投)
★=編成部 部長、☆=アマスカウトグループディレクター 広島・情報と結束確かな継続布陣
実績ある連携で、将来を見据えた最適な判断を下す。2024年途中から
苑田聡彦氏がスカウト部顧問に。
白武佳久氏がスカウト統括部長、
田村恵氏がスカウト部長となり、顔ぶれと担当エリアは継続し、情報量とスカウト間の結束力は確か。1月10日に今年の第1回スカウト会議を開催。各担当スカウトが有望選手をリストアップして計248人の名前を挙げ、現状を踏まえて視察の方向性を確認した。現チームを引っ張る選手たちを発掘したスカウト陣が、慧眼を発揮していく。
【2025補強ポイント】投手の補強は不可欠、次世代支える指名へ 主力選手のFA権取得や将来的なMLB挑戦などを見据え、投手のさらなる補強は不可欠。昨秋のドラフトで右腕に関しては素材型の指名となっただけに、1位指名は即戦力の本格派右腕となるか。野手は、ベテランの
秋山翔吾や
菊池涼介の後継者、特に強打の外野手は狙いたいところ。今季の現有戦力の競争も踏まえ、不足要素を確保したい。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★苑田聡彦=07[3]
會澤翼(水戸短大付高・捕)
☆白武佳久[中国・四国]=18[1]
中村奨成(広陵高・捕)
◎田村恵[全国]=14[1]
大瀬良大地(九州共立大・投)
近藤芳久[北海道・東北]=23[1]
斉藤優汰(苫小牧中央高・投)
高山健一[関東・北信越]=24[1]
常廣羽也斗(青学大・投)
尾形佳紀[関東]=20[1]
森下暢仁(明大・投)
松本有史[東海]=12[2]菊池涼介(中京学院大・内)
鞘師智也[近畿]=19[1]
小園海斗(報徳学園高・内)
末永真史[九州]=19[2]
島内颯太郎(九州共立大・投)
★=スカウト部顧問、☆=スカウト統括部長、◎=スカウト部長 ヤクルト・多角的視点で金の卵発掘へ
常勝軍団となるべく体制を一新した。昨季まで二軍投手コーチを務めた
松岡健一氏がスカウト入り。加えて、外部からの招へいにも着手した。新任では
オリックスでスカウトも務め、昨季は北照高のテクニカルアドバイザーを務めた上村知裕氏(元オリックスほか)が、元四国IL/香川で昨季は同球団職員だった平岡佑梧氏が加入した。昨季限りで現役引退した
青木宣親氏はGM特別補佐に就任。多角的な視点で情報を集め金の卵を見つけていく。
【2025補強ポイント】投手課題も最優先は次代を担う大砲か 今季オフには
村上宗隆のメジャー・リーグ挑戦が濃厚。
山田哲人もベテランの域に入ったこともあり、野手では次なるスラッガーの発掘が最重要課題となる。また、同時進行しなければいけないのが長年課題の投手陣の整備。即戦力を確実に押さえつつ、将来性豊かな逸材も指名したいところ。新たな布陣で全国各地の逸材を見極めていく。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★
小川淳司 (新)☆青木宣親
◎
伊東昭光 ○橿渕聡=22[1]
山下輝(法大・投)
●
松田慎司[九州]=18[1]村上宗隆(九州学院高・内)
押尾健一[東北・関東]=25[5]
矢野泰二郎(四国IL/愛媛・捕)
丸山泰嗣[関東・北信越]=20[5]
長岡秀樹(八千代松陰高・内)
(新)松岡健一[東海]
(新)
上村和裕[北海道・東北]
阿部健太[関西・北陸]=20[1]
奥川恭伸(星稜高・投)
余田雄飛[関東]=25[1]
中村優斗(愛知工大・投)
(新)平岡佑梧[中国・四国]
★=ゼネラルマネージャー、☆=ゼネラルマネージャー特別補佐、◎=編成部部長、○=スカウト育成グループデスク、●=投手チーフ 中日・楽天から山田潤スカウトが加入
松永幸男スカウト部長、
音重鎮チーフスカウトのトップ2は変わらないが、長く担当した
米村明シニアディレクターが退任となった。新任として昨年まで長く
楽天でアマスカウトを務めた
山田潤氏。中部地区担当として
則本昂大、
安田悠馬らを獲得した。
中日でも東海地区を
メインに関西地区も担当する。残りの布陣は変わらず、各担当が連携しつつ全国の逸材をチェックしていく。長い低迷期を脱出するために新人発掘が絶対条件。抜かりなく目を光らせる。
【2025補強ポイント】今季の成績次第、新監督の要望が最優先 1月14日に今季最初のスカウト会議を行い、上位候補の約200人をリストアップ。「評価が高い選手は何人かいても、これから確認していくことになります」と松永幸男スカウト部長。昨季のドラフトは1、2位で即戦力左腕の獲得に成功したが、今季は方向性もまだ未定。どちらにしろ、1年目の
井上一樹監督の声が大きく反映されそうだ。
■編成&スカウト一覧 氏名[担当地区]=主な担当選手 ★松永幸男
☆音重鎮[全国]
◎山本将道[関西]=25[1]
金丸夢斗(関大・投)
(新)山田潤
正津英志[北信越・関東]=22[1]
ブライト健太(上武大・外)
清水昭信[東海]=21[1]
高橋宏斗(中京大中京高・投)
三瀬幸司[九州]=23[1]
仲地礼亜(沖縄大・投)
小山良男[関東]=25[3]
森駿太(桐光学園高・内)
八木智哉[北海道・関東]=23[2]
村松開人(明大・内)
野本圭[中国・四国]=25[6]
有馬惠叶(聖カタリナ学園高・投)
岡野祐一郎[東北・関東]
★=部長、☆=チーフ、◎=次長