
巨人の背番号3。長嶋茂雄ほどファンを惹きつけてやまない選手はいなかった
すべてを兼ね備えた選手
85年にも及ぶプロ野球の歴史の中で、本当に多くの選手がプレーしてきた。その中でも活躍した選手というのは通算記録のトップを見れば分かるだろう。868本塁打の
王貞治(巨人)、3085安打の私、400勝の
金田正一さん(国鉄ほか)、1065盗塁の
福本豊(阪急)などが挙げられる。
一方で記録以上に記憶に残る選手も
大勢いた。これは数字では表せないから難しいのだが、ひとつだけはっきりしていることがある。ファンの中でもっとも記憶に残る選手と言えば、これはもう長嶋茂雄さん(巨人)で間違いないということだ。人気の面で長嶋さんにかなう人は誰もいなかった。プロ野球界が生んだ最高のスーパースターだと思う。
若いファンの方は長嶋さんの現役時代を知らないと思うが、攻守走三拍子そろったオールラウンドなプレーヤーだった。
イチロー(
オリックスほか)を一回り大きくし、さらに本塁打も打てる選手をイメージしてもらうといいだろう。
長嶋さんの通算記録をあらためて調べてみると、打率は.305、2471安打、444本塁打、1522打点、190盗塁とある。プロ野球記録は一つもないし、すべて私の数字のほうが上回っている。
しかし、王は本塁打は打てても足が速いとは言えなかった。私も安打を量産したが、右手が不自由で守備に難があった。しかし長嶋さんには穴がなかった。すべてを兼ね備えていた。そして誰よりも勝負強く、ファンが打ってほしいと期待する「ここぞ」の場面で必ず快音を響かせた。大舞台に強く、日本シリーズのMVPを4回(最多記録)も獲得しているのがいい例だ。常にファンを意識してプレーしていた選手だったから、ファンの記憶に残るのも当然だったと言えるだろう。
長嶋さんの場合、それが自然にできるのがまた素晴らしかった。人気を稼ごうとか、マスコミ受けしようとか、小賢しいことを一切考えず、野球を純粋に愛し、ファンにも素のままで接していた。さらに私が長嶋さんをすごいと思っていたのは、・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン