
「無私寮」を出てユニフォーム姿で駒澤球場へ向かう筆者
入退寮は選手の自由
新年を迎えてすぐに1都3県に緊急事態宣言が発令された。私は外出を控え、家の中にいながら1日に何度もうがいと手の消毒をしている。それでもテレビを見ていると人出が多い。街中ではしゃいでいる若者が画面に映し出されていたが、まったく何を考えているのか。自分は(新型コロナウイルスに)感染しないとでも思っているのだろうか。自分が感染するだけで終わるなら自業自得で済むが、この新型コロナウイルスは人を巻き込むのだ。そこを忘れてもらいたくない。家族や仲間など、自分の大切な人が感染して苦しむ姿を思い浮かべてみろと言いたい。
新年早々、嫌な気持ちになったが、私にとってはホッとするニュースもあった。
菅野智之(
巨人)の巨人残留だ。どういう経緯があったかは私には分からないが、今年もまた日本のプロ野球で菅野の姿を見ることができる。伯父さん(
原辰徳監督)も大喜びだろう。獲得しなかったメジャーにも感謝したい。本人はメジャー志望であり、その夢がかなわなかったことは残念に思うが、以前から何度も言っているように、日本の素晴らしい選手たちが次から次へとメジャーへ行く傾向を私は危惧している。「行きたい選手は行けばいい」という声も多いが、私はそうは思わない。日本プロ野球はメジャーを目指すための場所ではないし、日本のファン、青少年にも夢と希望を与えてほしいと願うからだ。
さて1月に入って、12球団のルーキーたちが入寮するというニュースが報じられている。ドラフト、入団会見も終わって入寮となれば、いよいよプロ野球人生が始まるという実感が湧いていることだろう。
私も東映に入団し、高校時代を過ごした大阪から上京して東映の寮に入った。「無私寮」という名前の寮で、本拠地の駒澤球場からは歩いて10分強ほどの場所にあった。今でこそ駒沢と言えば、緑豊かな公園に高級住宅街を思い浮かべる人が多いと思うが、60年以上も前の当時は周り一面は畑ばかりで殺風景だった。「無私寮」自体も新しく建設されたものではなく、もともとあった病院を改造して作られた木造建て。食堂の入口には「診察室」の木札が残っていたように思う。
今の寮は・・・
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