
巨人時代にヒーローインタビューを受ける筆者
マスコミの存在
プロ野球は人気商売だ。私も現役時代からマスコミを通じて、いろいろと取り上げられてきた。どちらかと言えば、良いことはあまり書かれず、悪いことばかりを記事にされた記憶があるが、書かれているうちが華という言葉があるように、あまり気にしなかった。そんなことにいちいち目くじらを立てても仕方なく、それよりもその日の試合で安打を打つことに集中するほうが重要だった。
ただ、名将と呼ばれる監督たちはマスコミの扱いというものをよく分かっていた。
三原脩監督(西鉄ほか)は「われわれは相手チームとの勝負だけれども、同時にマスコミとの勝負でもある」と常々言われていたし、同じようなことは
水原茂監督(巨人ほか)も口にしていた。プロ野球がファンあってのもの、そしてそのためにマスコミが存在していることを理解し、マスコミの眼をいかにプロ野球に向けさせるかを考えていた。私も最初はその意味が分からなかったが、選手として実績を積んでいくうちに三原監督、水原監督が言っていた意味が分かってきたものだ 。
私が入団したころのプロ野球と言えば、人気球団は言うまでもなく巨人だった。テレビ、新聞と親会社がマスコミだから仕方がないが、巨人とそれ以外の球団、選手の取り上げ方には大きな差があった。それでもセ・リーグはまだいい。「対巨人」という黄金カードがあるからだ。悲惨なのはパ・リーグだ。どんなに活躍しても話題になることはなく、巨人戦の大観衆を見ると、これが同じプロ野球かと思ったものだ。だから
前号でも書いたように、パの選手たちは日本シリーズはもちろんのこと、たとえオールスターゲームでもセには負けられなかったし、負けたくなかったのだ。人気も実力もセとなってはたまったものではない。
そういう時代はとっくに終わりを告げたが・・・
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