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今季の日本選手トップの年俸は9億円[推定]で楽天・田中将大[写真=井沢雄一郎]
数字が人格を決める
このコラムでは何度も書いてきたが、プロの世界でものを言うのは結果だ。結果も出していない人間がいくら偉そうに物を言ったところで始まらない。説得力がないからだ。成績、そして数字が人格を決めるというのが私の持論である。どんな理論や理屈を並べても、数字を残さなければダメだということだ。
「記録よりも記憶に残る選手になりたい」という選手がよくいるが、それを言うなら「記録にも記憶にも残る選手になりたい」が正しいと言える。前者からは何となく記録、数字から逃げて野球を楽しみたいという気持ちが感じられる。もちろんファンの記憶に残るような選手になることは素晴らしい目標だ。しかし、記憶というものはやがて消えてしまうものであり、後世に残るのは記録のほうなのだ。
昨年の
大谷翔平(エンゼルス)がいい例だろう。メジャーで本塁打王を争ったものの、最後はわずかに届かなかった。今はまだいい。惜しかった、すごかった、よくやったと、その活躍を覚えているファンがたくさんいる。しかしこれが3年、5年、10年とたっていくにつれ、その記憶はだんだんと薄れていく。「あの年は……」と覚えているのは一部のファンだけだろう。
逆にタイトルを獲得していれば、「2021年ア・リーグ本塁打王=大谷翔平」と歴代タイトルホルダーの一人として、永遠にメジャーの歴史に名前が残った。だから私は口を酸っぱくして、絶対にタイトルを獲得せよと言い続けていたのだ。タイトルは獲れなかったけどよく頑張ったというのはアマチュアの話。プロの世界では2位もビリも同じなのだ。全米では「でも結局、獲れなかった」で終わりになる。それが残念だということだ。
ただ、私が選手に記録や数字にこだわれと言うのは、何も歴史に名を残すような立派な選手になってほしいからだけではない。それが“稼ぎ”につながるからだ。要は年俸アップ。しかし、これについては言いたいことがたくさんある。
今の選手は活躍すれば年俸が大きく跳ね上がる。いくらタイトルを獲得したからと言って、1億円アップ、2億円アップなんて私には到底信じられない。であれば逆に・・・
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