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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「満ちあふれる野球人の“男気”」

 

スタイルを変えてのアジャストではなく、NPB時代の武器を磨き上げてメジャーにアジャストしたアストロズ・菊池雄星が歩んだ道は“男気”に満ちあふれるものだ[写真=Getty Images]


示し方も感じ方もそれぞれの二文字


 下北沢のベースメントバーでミュージシャンの向井秀徳さんのライブを目撃した。アコースティックギター1本の弾き語りだったのだが、いやいや、弾き語りなんて生易しいものではない。向井さんの声が放つすさまじい熱量には圧倒されっぱなしで、ギターの弦をぶち切らんばかりの右腕の力強さには惚れ惚れしてしまう。向井秀徳さんのライブには全身から“男気”が迸(ほとばし)る、観るものを身震いさせる迫力があった。

 そこでまた野球を連想する。男気といえば7年前、『野球人の男気』というテーマで何人かに取材をしたことがある。真っ先に会いに行ったのが江夏豊だ。

「勝負の世界で生きてきた、われわれからすれば、男気なんて、今の時代には、もはや用のない言葉よ(笑)。根性と同じや。男気がグラウンドから漂ってくるなんてこと、残念ながらもうなくなったもんな」

 そんなはずはないと当時の選手に漂う男気の残り香を探すべく、次に井口資仁を訪ねた。すると井口は秋山幸二の名前を挙げた。

「秋山さんが引退する2002年、一緒にプレーさせていただいたんですけど、僕の中では秋山さんが最高に男気を感じる選手でした。実力は当然・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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