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石田雄太の閃球眼

石田雄太コラム「育て甲斐のある若きキャッチャー」

 

2002年に初めて“正捕手”として日本一となった巨人阿部慎之助[写真=BBM、投手は河原純一]。監督となった現在、いかにして“次期正捕手”を育てていくのか


期待、重圧、酷評を経て思いがあふれた涙の夜


 今から22年前の2002年10月30日、西武ドーム──ジャイアンツが3連勝して迎えた日本シリーズ第4戦は9回裏、ジャイアンツが6対2とリードしていた。44歳、就任1年目の監督、原辰徳が日本一の胴上げに備える。ツーアウトからヒットが出るとプロ2年目、23歳の阿部慎之助がマウンドへ駆け寄った。

 そのときのことを阿部に聞いたことがある。

「最後の場面、僕、試合の途中なのに泣いちゃってね。元木(元木大介)さんに『お前、何を泣いてんだ、バカヤロウ』って突っ込まれて(笑)。『我慢できなくて、すいません』と言ったら、『もうちょいだから、がんばれ』と……」

 サードの元木が右手で、ファーストの後藤孝志が左手にはめたミットで阿部のヘルメットをはたく。あのときに阿部が流したのは、いったい何の涙だったのだろう。

「いやぁ、苦しかったですからね。プロ2年目でたくさん分からないことがあって・・・

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石田雄太の閃球眼

石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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