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石田雄太コラム「“発展途上”で殿堂入りへ 51歳を待つクーパーズタウン」

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2022年にはマリナーズ球団の殿堂入りを果たしたイチロー[写真=Getty Images]は、来年1月に発表されるアメリカ野球殿堂入り28人の候補者にも名が挙がっている


野球の聖地で迎えた歴史に刻まれた瞬間


 アメリカ野球殿堂入りの候補者が発表され、28人の中にイチローが入った。これまで72人の日本人選手がメジャーでプレーしてきたが、殿堂入りの候補に名前が挙がったのは野茂英雄松井秀喜の2人だけ。引退して5年で有資格者となる殿堂入り、2014年にノミネートされた野茂、18年に名前が挙がった松井は、ともに候補者で居続けるための得票率5%に届かず、殿堂入りの資格を失った。イチローが75%の得票率を超えて殿堂入りを果たせば、日本人選手としては初となる。

 ニューヨークのマンハッタンから北西へ約400キロ離れたクーパーズタウンにある、アメリカの野球殿堂。この街が野球のふるさとだと位置づけられたのは、ここで1個のボールが見つかったからだ。縫い目のほつれた、真っ黒く煤(すす)けたボール。1839年、クーパーズタウンで生まれたアブナー・ダブルディという青年が、野球に似たゲームをここで始めたのが野球のルーツである──これが1905年に設立された野球起源調査委員会によって導き出された野球のふるさとに関する結論だった。ことの真偽については諸説あるのだが、この伝説に則って野球生誕100年にあたる1939年、アメリカはこのクーパーズタウンに野球殿堂を誕生させた。

 オツェゴ湖の畔にあるこの街は野球一色に彩られている。あちこちの店の看板には・・・

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石田雄太の閃球眼

ベースボールライター。1964年生まれ。名古屋市立菊里高等学校、青山学院大卒。NHKディレクターを経て独立。フリーランスの野球記者として綴った著書に『イチロー・インタビューズ激闘の軌跡2000-2019』『大谷翔平 野球翔年』『平成野球30年の30人』などがある。

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