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今に燃える球人魂

DeNA・徳山壮磨 思いが結果に、結果が支えに「やってきたことが間違っていなかったという裏付けがあった」

 

紛れもない「新戦力」と言っていいだろう。入団から3年目にしてつかんだ一軍舞台。今やタフネスぶりを発揮し、どんな役回りでもこなす中継ぎ右腕として信頼を集めている。大阪桐蔭高、早大というエリート街道を歩んできた2022年入団のドラフト2位は入団から2年間苦しみ抜いた。右腕を導いたのは、出会いによる思いの変化。そこからつながった結果が今度は支えになっている。
取材・構成=武石来人 写真=井田新輔、高塩隆、BBM

初の一軍マウンドは9回二死一、三塁からの緊迫した場面。三振で試合を締めガッツポーズを見せた


始まりの場所での飛躍


 誰にでも起こり得るものであり、予期することのできないもの。そしてその苦しみは本人にしか分からない。だからこそ、一軍舞台を踏んだ今、少しずつ前進してきた右腕に向けられている声援は人一倍大きい。

――一軍の環境にはもう慣れましたか。

徳山 そうですね。ビジター球場もひと通り回れたので。一連の流れというものは分かってきました。

――表情からは充実感を感じます。

徳山 すごくありますね(笑顔)。全部がプラスになっています。抑えたこともそうですが、打たれたことも含めいろいろ経験できたことが大きいと思います。

――開幕2戦目の3月30日の広島戦(横浜)で一軍初登板を果たしました。このときの思いを聞かせてください。

徳山 入団してから2年間一軍マウンドに立てなかったので、今季に臨む気持ちは人一倍強かったと思います。そこからつかみ取れた登板でしたし、マウンドに立って球場に来てくれたファンの方を見たとき、2年間きつかったことを思い出して、頑張ってきてよかったなという感情がすごく湧いてきました。

――徳山投手を語る上で触れざるを得ない部分ではありますが、「きつかった」と表現する2年間はイップスに苦しめられました。最初に感じたのは、1年目の宜野湾キャンプでのブルペンだったとの報道もあります。

徳山 そうですね。ニュースにも出ているとおりで、監督、コーチ、ファンの方々からのたくさんの視線を受けて、今までにない感覚が出てボールが思うように操れなくなり、怖さを知りました。

――打者の背中を通るほどのボールもありました。ただ今年の宜野湾でのブルペンは飛躍のきっかけにもなりました。

徳山 そう言ってもいいぐらいだと思います。苦しむことになった一番初めの場所なので、もちろん怖さはありました。フラッシュバックしそうになるんじゃないかと不安もあって。当時と同じような状況でしたが、いざ立って投げると何も気にならずに入れたんです。そこは、ファームで積み重ねてきたことが自分のものになっているんだなと感じた瞬間でもあります。今となっては、嫌なイメージは一切ないですね。

――イップスを乗り越えられた一番の要因はどんなところにあるのでしょう。

徳山 チームの関係者やスタッフさんをはじめ本当にいろいろな方、もう誰って言ったらきりがないぐらいの方が支えてくださいました。その中でも大きかったのは千葉大学病院の精神科の先生に出会い、考え方が変わったことです。メンタルトレーニングの方法を学び、「こうなったときにはこう考える」という“考える力”がついたと思います。実際、去年から技術的に大きく変えたことはないんですけど、考え方が変わったことで自分の力が発揮できるようになったと感じています。

――心の持ちようは変わりましたか。

徳山 そうですね・・・

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