143試合の長丁場を戦うペナントレース。ゲームメーク能力のある先発投手は重宝される。登板を重ねるごとに指揮官の信頼度も上昇中。頼もしい左のスターターが杜の都に現れた。高校、大学、社会人と戦いの場を進めてプロの世界へ。10月には28歳を迎える。変わらぬ思いを持ち、腕を振ってきた。2024年は大きな進化を遂げる1年になりそうだ。 取材・構成=阿部ちはる 写真=牛島寿人、高塩隆、毛受亮介 
被打率.305と走者を出す場面は多いが、得点圏では被打率.231とあと一本を許さず。粘りの投球で相手に主導権を渡さない
失敗からの学び
開幕先発ローテーション入りこそ逃したが、シーズン序盤に登板のチャンスを得ると安定感のあるピッチングで試合をつくり続けている。昨季はシーズン後半から中継ぎとしてブルペンを支え、今季はチーム事情によりイレギュラーな登板間隔となるなど難しい調整をすることも多いが、そこで大崩れしないのが藤井聖の強みの一つだ。悔しさを感じながらも、いつかがっちりと信頼をつかむため、地に足をつけて地道に努力を重ねている。 ――開幕から先発ローテーションの穴を埋めるような登板が続いていました。調整の難しさは感じていないですか?
藤井 自分的には順調にできているかなと感じています。難しい部分もありますが、調整に関してはあまり気にせずできています。ただ、5月8日の
オリックス戦(秋田)以降、(登板が)2週飛ばされてしまったことは悔しかったですね。
――それでもここまで7試合に登板し、チームは6勝とそのうっ憤を晴らすかのような好投でしっかりと試合をつくっている印象です(6月9日時点、以下同)。ここまでの自己評価はいかがですか。
藤井 いい感じで来ているとは思います。ただ、まだあまり長いイニングを投げさせてもらえていないので、自分の実力不足を感じていますし、まだ信頼を得られていないという悔しさはありますね。
――6月6日の
阪神戦(甲子園)までは4月14日の
ロッテ戦(
楽天モバイル)が4回、それ以外の5試合はすべて5回で降板しています。
藤井 やはり自分的にはまだまだ行ける状態で代えられてしまうのは、投球の印象が悪かったり、5回の抑え方がギリギリなことが多いからなのだと思います。やはりイニングをもっと投げたい気持ちはあるのですがまだ信頼を勝ち取れていないので、仕方ないのかなとも感じていますね。
――イニングを投げ切るという部分では、一定の評価があるからだと感じます。
藤井 そうですね。自分の持ち味でもあるので、粘り強く投げられているのはいいことですね、確かに。
――大崩れすることなく試合をつくれている要因はどこにあると感じていますか。
藤井 球速が遅い分、変化球をうまく使ってストレートを速く見せたり・・・
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