【カットボールの握り】 
2021年7月5日号掲載
どう使うかは人それぞれ。その日の調子もあるし、相手バッターの反応次第でもありますが、カウント球にもなるし、決め球にもなり、打たせて取ることも可能で、ほかの球種を生かすための“見せ球”にもなっていく。バッターの目つけや意識をかく乱することができるのが、このカットボールです。ただ、それらは自分が投げているボールをしっかりと理解することが大前提。なので、バッテリーを組んでいるキャッチャーと同じ考えを持っておくのも大事になります。投げ方、覚え方を紹介したカットボールの握りも右下に載せておきますので、カットボールを投げられるようになれば、今回紹介する『使い方』も頭に入れることでピッチングの幅が広がるはず。正解は人それぞれですが、自分のピッチングを考えながら、カットボールをより有効に使う参考にしてみてください。
“見せ球”にもなる
まず、カットボールがどんな変化をするか考えてみてください。右投手なら右打者の外角に逃げていくスライダーよりも曲がり幅が小さい球種というのが一般的な考えでしょう。ただ“変化”ではなく“球速差”を理解すると、使い方が見えてきます。
皆さんが投げるカットボールは、ストレートとのスピード差はどれくらいですか。カットボールを有効に使うには、できる限りストレートに近い球速を出すことが望ましい。数字で言うなら差は10キロ以内が理想。というのも、いかにバッターに「ストレートだ!」と思わせるかが大事なんです。リリース時にそう思わせ、球速も軌道もストレートに近いことでバッターを惑わすことになる。バッターが打ったあとに「カットボールだったか」と思うのが理想なんです。
だから、曲がり幅はさほど気にする必要はありません。狙いは2つ。バッターのタイミングを外すこと。そして、バットの芯を外すことです。仮にバッターが見逃しても変化が小さいため、ストライクを奪えることもあり、ストレートと思って振ればバットの芯から外れる。凡打で打ち取ることもでき、ファウルになってもカウントを稼げるので、万能な球種となっていきます。
ただ、投げる上で頭に入れておきたいことが1つ。それはバッターの反応、それもストレートに対しての反応を見ることです。ストレートにタイミングが遅れてファウルになったり、差し込まれているのであれば、そもそもカットボールを投げる必要はそこまでありません。むしろ、タイミングが遅れているバッターにとっては、カットボールのほうが、タイミングが合う可能性が高いですから。
ストレートにタイミングが合っているからこそ・・・
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