始まりはいつも受難だった。昨年、ファームでの初登板では一死も取れずに降板、一軍先発要員の座をつかんだ今季も、初登板から3連敗――。ただ、プロの怖さを知っても、向上心とチャレンジ精神を失うことはなかった。そして手にした2勝。後半戦も、この勢いでぶつかっていくのみだ。 取材・構成=藤本泰祐 写真=川口洋邦、BBM 
ほかの投手と少しタイミングが違い、急に腕が出てくるようなフォームが特徴。これからもストレートにはこだわっていきたいという
3連敗からの逆襲
昨秋の宮崎フェニックス・リーグで頭角を現し、今季もファームで好投、一軍の先発への道が開けた。だが一軍でのスタートは初登板から3連敗。それでもへこたれることなく、5試合目の登板で、ついに初勝利。さらに1勝を重ねた。 ──今シーズン前半は、プロ初勝利を含めて2勝を挙げました。ご自身ではこの活躍はいかがですか。
玉村 初登板(4月29日、
DeNA戦=マツダ
広島)は5回5失点と試合をつくれなかったですし、最初の3試合は5回までしか投げられなくて、どうしようかなという感じだったんですけど、そんな中でも今まで8試合、登板する機会をいただいて。その中でだんだん試合がつくれるようになってきたのはよかったかなと思います。だんだんイニングも、球数も増えてきたので、これからもっと(1イニングあたりを)少ない球数で行けるようになって、たくさんイニングを投げていけたらなと思います。
──その辺が、今後の目標になりますか。
玉村 そうですね。
──初登板から、先発で3試合投げましたが勝てませんでした。あの辺りはどんな気持ちでしたか。
玉村 もう、3戦3敗だったんで、「これはちょっとヤバいな」と思ったんですけど、それでも登板する機会をいただいていたので、とにかく「たとえ勝てなくても、ゲームをとりあえずつくろう」と思って、毎試合挑んでいました。
──そこから、初勝利につながる何かがあったのでしょうか。
玉村 二軍に落ちたときに、ブルペンでもう一度、真っすぐの質だったり、制球力を見直しました。それと、チェンジアップを全然決められていなかったという反省があったので、チェンジアップを練習しました。
──その手応えを持って、交流戦の
ソフトバンク戦(6月10日、PayPayドーム)に挑んだ。
玉村 ハイ。あの試合で、真っすぐがいいところに決まりだしましたし、チェンジアップを有効に使えるようになってきたのかなという手応えがありました。初めて6回まで投げて、試合もつくれたので(6回無失点、勝利投手の権利を持ってマウンドを降りたが、リリーフ投手が打たれてプロ初勝利はならず)、とりあえずホッとしたというか、ちょっと落ち着きました。なので、「またこういうピッチングをできたらな」と思って次に挑むことができました。
──そして5試合目の6月18日のDeNA戦(東京ドーム)でプロ初勝利。
玉村 あの試合は・・・
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