阪神の佐藤輝明らに押され、ルーキーの中では隠れた存在だが、確実にヤクルトの主力へと成長している。「世界一のショートストップになる」ことを目標に掲げるビッグマウスな元山飛優だが、その裏には反骨精神と、泥まみれの努力がある。 取材・構成=依田真衣子 写真=宮原和也、BBM 
4月22日の広島戦[マツダ広島]では勝ち越し本塁打。勝負強さを見せた
目指すは日本一、世界一
東北福祉大から、ドラフト4位で入団した新人遊撃手だ。チームのレジェンドOB・宮本慎也の背番号6を与えられ、チームの顔と呼べる遊撃手になることを期待されている。もちろん、元山自身もそれを夢見るが、プロの世界は甘いものではなかった――。 ――プロの世界に足を踏み入れ、アマチュアとの違いは感じましたか。
元山 差を感じた部分はいろいろあるんですけど、学生時代に何となくでやっていたことを、プロは大事にしていると感じましたね。一つひとつ、サインの確認だったり、走塁の意識、ベースカバー……。そうした“もしも”に備えた細かい動きをしたほうがいいというのは、アマチュア時代から頭に入ってはいたのですが、実際に“もしも”が起こることはなかなかないですし、「別に大丈夫かな」程度の意識で、取り組んでいなかったこともあったんです。でも、プロはどんな小さなことにも備えないと、そこから隙を突かれる世界。なので、より基本が大事だなと思いましたね。プレー以外でも、人間的にちゃんとしなくてはいけないというのは、常々先輩方から言われているので。みんなが分かっている、当たり前のことを一番しっかりやらなきゃいけないのが、プロ野球選手なんだと思いました。
――春季キャンプから一軍入りし、開幕してすぐ、3月27日の阪神戦(神宮)では途中出場でデビュー。初安打と初本塁打のマルチヒットを記録しました。結果が出たことで、自信が生まれたのではないですか。
元山 いや~。何かをクリアすると、何かできないところがすぐに見つかるんですよ。もう本当に「今までなんでこれができないことに気づかなかったんだろう?」って思うくらい、毎日何かに気づかされて反省しています。やっぱりプロでは、そうやって課題を一つひとつクリアしていくことが大事なんだなと痛感しましたね。
――順調に歩んでいるように思えますが、実は課題が山積みだと。最初にそう感じたのはいつですか。
元山 ランナーがいる場面でのケースバッティングですかね。走者一塁のときは、ファースト側の一、二塁間に狙って打つのがセオリー。これも分かってはいたんですけど、プロに入るまでそれを狙って打つ練習を真剣にやってこなかったので……。いざそのサインが出たとき、できなかったんです。バントだって、今まで得意だと思ってたんですけど、プロのピッチャーはタイミングを変えてきたり、あの手この手で真剣にバントを阻止しようとしてくる。そりゃあ野球を仕事にしているんだし、簡単にチャンスはつくらせてくれませんよね。お互いの人生を懸けて戦うのがプロ野球なんだと、肌で実感しました。できて当たり前のことすらやらせてもらえませんでしたが、それでも対応していかないと、これから先はないので。
――なるほど。では、対応するために工夫した部分はありますか。
元山 プロのピッチャーでも・・・
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