昨年まで、一軍で放ったヒットは1本のみ。それが今季は、チームが新型コロナ禍に襲われたのを機に5月18日に一軍に呼ばれると、そのままサードの定位置を奪い、最後まで走り切った。ホームランも10本を記録。次代の鯉の大砲の、覚醒のシーズンとなった。 取材・構成=藤本泰祐 写真=宮原和也、小山真司、前島進、佐藤真一、BBM 
持ち味は何と言ってもパワフルなバッティング。引っ張っての一撃だけでなく、センターから左へ長打が打てるところが魅力だ
原点への立ち返りができた
レギュラーとして戦い抜いた今シーズンだが、調子の波は激しかった。6月までは打率.362を記録したが、五輪中断期間のエキシビションマッチでは途中まで25打数1安打。かと思えば9月には8打数連続安打があり、その後にはまた6試合連続無安打も。それでも定位置は手放さず、何とか乗り切ってきた。 ──5月の後半からレギュラーで出場したシーズンを最後まで走り抜きました。ご自身としてはいかがですか。
林 自分自身も、始まる前は今シーズンこんなに試合に出られると思っていなかったので、ホントにありがたいなと思うのと同時に、いい経験ができたと思っています。
──ずっと一軍でやり続けていくことができたのは、どこがよかったと思っていますか。
林 やっぱり、けっこう何度か、打てなくなったときもあったんですけど、その中で、そのたびに自分の原点というか、そういったところに立ち返って、もう一回、一からバッティングを見つめ直すことができたので。そこがよかったのかなと思っています。
──調子の波はあったものの、悪いときも一つひとつ乗り越えてこられたという手応えはある。
林 そうですね。そういう感じだと思います。
──ホームランも10本と2ケタに乗せました。特に9号、10号は、センターから左のホームランでした。いよいよ持ち味が出てきた感じがします。
林 シーズン前半はライト方向へのホームランが多かったんですけど、ああいった形で逆方向にも打てたので、それはけっこう自信にはなりました。ライト方向へは、反応で打てているときはいいんですけど、やっぱりライトにしか打てない打ち方でホームランを打つのは、自分ではあまり納得がいかないなと思っています。やっぱりセンター、あるいはセンターより左に打球が行っているときのほうが、自分のバッティングはいい感じなのかなと思っています。
──ファームにいたときに、
東出輝裕打撃コーチに、「ピッチャーのほうに体を向けないことだけ気をつけとけ」と言われたのが、良くなるきっかけだったそうですね。
林 それを言われたのは・・・
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