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入団したばかりの江夏[左]と柔軟運動
メジャー流のシフト
南海はケチだったし、大阪球場のお客さんも少なかったけど、野球は最先端だったよ。野村(
野村克也)さんというと、
ヤクルトのID野球の印象が強いかもしれないけど、その最初が南海時代、選手兼任監督の野村さんと、
ブレイザー(コーチ)の「シンキングベースボール」、考える野球だからね。
東京教育大でスポーツトレーナーをやった人をコーチに呼んで、科学的なトレーニングをやったこともあったな。最初は俺らも血の気が多い時代だし、野球を知らんヤツが偉そうに言うなと思って、「キャッチボールできるようになったら言うこと聞いてやるわ」って言ってたけど(笑)、そのあと練習したのか、フリー打撃に投げるようにまでなったからね。そうなりゃ仕方ない。素直に謝りに行ったよ(笑)。
試合では王シフト(
巨人・
王貞治の打撃時、外野がライト寄りになった)よりさらに細かく大胆な守備シフトも敷いた。引っ張りの長池(
長池徳二)さん(阪急の右打者)が打席に入ったときは、セカンドなんていらないから外野を4人にしたり、左で同じく引っ張りだけど、ライナー性が多かった近鉄の永淵(
永淵洋三)さんのときはレフトを空けて外野2人にしたりね。ブレイザーのアイデアだったと思うけど、それこそ、今のメジャーみたいに大胆にやっていた。
必ずしもデータどおりに打球が行くわけじゃなかったけど、これの嫌らしいところは、バッターが人のいないところを狙うと、その選手本来のフォームが崩れることなんだ。どちらかと言うと、そちらを目的にしてるのかなと思うこともあった。
ただ、あれを巨人がやったら随分話題になったんだろうけど、パ・リーグだからね(笑)。新聞記者も気づいていたとは思うけど、大きな記事になったことはなかったな。
ブレイザーというのはメジャーでも名手と言われたセカンドで・・・
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