当時の世界記録、通算1065盗塁と異次元の記録を打ち立てた“世界の盗塁王”。そんな韋駄天をいかに封じるかを考えたのが野村氏だった。技術を磨き合い「ランナーとしてのレベルを上げてくれた方」と話す大捕手との攻防は、野球界の技術の進歩にもつながっている。 
2016年には対談も実現[一部抜粋を下記掲載]。野村氏[左]と福本氏は、捕手と走者の好敵手だった
朝の9時ぐらいに知人から連絡をもらって知りました。“えー!”ですよ。病気されていたとかも聞いてなかったし、とにかくびっくりです。足だけがしんどいとは言われていたけど、病気で寝込んでどうということもなかったから……。去年、テレビ番組でお目に掛かったのが最後でした。
野村さんは、大先輩であり、僕をレベルの高いランナーにしていただいた方でした。南海の投手にクイックをさせて、僕が走れないように、動けないようにしたんです。その中で僕も研究して。相手投手のクセを見たり、いろいろ考えさせられました。僕のランナーとしてのレベルを上げてくれたんです。
打席でも『ランナーに出たら、走るのか』と話し掛けてきたりしてきました。打席の中での会話から、すでに“対戦”は始まっていたんです。チャンスのときの打席での“間”というか、集中力を散漫にさせる一言はきつかったなあ。あの一言が効く。それに乗ってしまって、やられてしまう(アウトになる)ことが何度もありました。
パ・リーグの宣伝にも熱心で。当時は何とかセ・リーグに追いつけ、追い越せでしたから。監督となられてからも・・・