引退試合前、大勢の報道陣の前に姿を現した松坂大輔。ユニフォームを脱ぐに至った経緯を包み隠さず語った。約1時間にわたって行われた引退会見での言葉を、一部抜粋してお届けする。 
会見の最後、現役時代にともに戦った西口文也投手コーチから花束が贈呈された[写真=代表撮影]
いい思いとどん底を経験
――現在の率直な気持ちは。
松坂 今日という日が来てほしかったような、来てほしくないような、そんな思いがあったんですけど、現時点ではすっきりしない。このあと、投げることが決まっていますし、投げることができて、そこで自分の気持ちの中ですっきりするんじゃないかな、すっきりしたいと思います。
――引退を決断した一番の要因は?
松坂 右手のしびれが強く出るようになって、何とか投げることはできたんですけれども、コロナ禍の中で緊急事態宣言があり、トレーニングも治療もままならない。その中で症状が悪化して、首の痛みやしびれで寝られない日々が続いて精神的にもまいってしまって手術を決断。これまで時間をかけてリハビリをしてきましたけれど、なかなか症状が改善しなかった。それで4月終わりごろ、プルペンの投球練習で何の前触れもなく右バッターの頭にボールが抜けた。ピッチャーって抜けそうだなと思ったら指先の感覚で引っ掛けたりするんですけど、それができないくらい感覚がなかったですね。そのたった1球でボールを投げることが怖くなってしまいました。
――決意が固まったのはいつごろ?
松坂 球団に報告する1週間前だったと思いますね。球団にお願いして・・・