3連続三振──。その衝撃的な結末にプロ野球ファンは狂喜乱舞した。松坂伝説を確固たるものにしたのが、「イチロー対松坂」の初対決だった。その世紀のスーパースターの対談が1年目の1999年オフに実現。背番号「18」と「51」が存分に語り合った。 
(左)イチロー[オリックス]、(右)松坂大輔[西武]
運命の初対決
――松坂投手は入団会見で対戦してみたいバッターに、イチロー選手を挙げていましたが、それはなぜだったのですか。
松坂 そりゃもう、誰もが認める一番のバッターだと思って。はい。
――そんな松坂投手を、イチロー選手はどういうふうに思っていましたか。
イチロー まあ、直接彼の言葉で聞いたわけじゃないんですけど……新聞に雑誌の広告がありますよね。それに「まずはイチローと対戦したい」って書いてあったんですよ。“まずは”だ? コラー! “まずは”とはどういうことだ‼ 最後じゃないのか、と。どういうことですか?(笑)
松坂 僕は“まずは”なんて言ってないですけど。
イチロー 言ってない? あっ、そう。それはねえ、『週刊現代』かなんかだと思うんですけど。おそらく。
――だけど、それを見た瞬間に“なんだ!”というふうに?
イチロー それは思いましたよ。コノヤロー‼ って思ったんだけど、でも(初対決で)3三振したでしょ。そりゃ“まずは”だなあと思いましたよ。あっ、そりゃ分かる、と。それは納得の言葉でしたね。
松坂 いや、僕は“まずは”なんて言ってないですよ(笑)。
――松坂投手にとってイチロー選手は、雲の上の存在なんですか?
松坂 そりゃもう、一番上でバーンと。
――お2人で普段、話はしているんですか?
イチロー 話してるよねえ。まあ、たわいもない話から。野球の話ってあんまりしてないね。
松坂 しないっすね。
――お互いに電話で連絡し合って話すことはありますか。
イチロー 込み入った話なんか、なんにもないですよ。
――最近、何してんだとか?
イチロー そうそう。そういうレベルですよ。
――初対決は5月16日の西武ドーム。松坂投手、当日の心境を覚えてますか。
松坂 アップをしている最中は普通じゃないですかね。いつもどおりです。
――オリックスの選手が球場に入って来たときは?
松坂 大体、イチローさんが入って来るときっていつも見てるんですよ、僕。ドームの中でやるときは、アップをしている最中に。
――このときは、5万人の観客で超満員でした。これはイチロー選手、非常にうれしかったんじゃないですか。
イチロー 日本シリーズをやって以来の感覚でしたね。それは、もうあり得ないですね。
松坂 自分で言うのもなんですけれど・・・