
メジャーでも振りかぶって投げることにこだわった
今から23年前――。
“平成の怪物”松坂大輔の伝説は1998年、夏の甲子園から始まった。その翌年、ライオンズに入団して程なく、ルーキーイヤーに実現したイチローとの初対決で奪った3つの三振は、伝説によりいっそうの輝きを加えた。2度の出場で連覇を成し遂げたWBCでは2大会連続でMVPに選ばれた。2007年にレッドソックスへ入団したときの騒がれ方は今の大谷翔平の比ではない。そして、メジャー1年目にワールド・シリーズを制してチャンピオンリングを手にする。“平成の怪物”こと松坂大輔は、ずっと一番であり続けた。
だからこそ、松坂はこだわった。メジャーでも日本で培った“松坂大輔”のままで勝負すべきだということに――たとえば振りかぶることについてもそうだ。ムダな動きだからと振りかぶるのをやめてしまうピッチャーが相次ぐ中、松坂はずっと振りかぶり続けた。松坂が言う。
「もちろん、こだわってます。ノーワインドアップにしたら余分な動きがなくなるからコントロールがよくなるとか、よく言われましたけど・・・