見ることの難しさは知っている。投手として10年プレーし、現役引退後は打撃投手、広報として現場に携わった27年間。“見る"ことは苦手だったと話すも、2018年から見ることが専門となるスカウトに転身した。今では選手に魅了されて視察に熱中するが、その根底には最大の目的がある。 取材・構成=鶴田成秀 
20年からチーフ、今季からスカウト部長に就任と、全国の逸材に眼を光らせる
着眼点を明確に
現役時代は投手、引退後は打撃投手、広報とチームに帯同。経験のない野手とも対話する機会が増え考えを知り、広報としては入寮から新人選手を間近で見てきた経験は、スカウトとなった今「視察する選手の成長をイメージしやすい」と生きている。ただ、スカウト1年目は四苦八苦の日々。それでも行動することで不安は消え、着眼点を明確にすることで、スカウティング活動の面白さが増していった。 思えば、昔は野球を“見る”ことが苦手だったんです。嫌いではないんですが、集中して1試合を見ることが苦手だったんですよね。そんな私が、今では自宅に帰っても野球を見ているのは、しっかりとした着眼点を持ったからでもあるのかなと思うんです。
2000年限りで現役を引退し、翌01年から打撃投手兼広報としてチームの現場でお世話となり、スカウトとなったのが18年のこと。実は、それまでも現場で松本(
松本尚樹・現球団本部長)さん、永野(
永野吉成・現統括コーディネーター)さんら、スカウトの方たちと会う機会も多く、冗談交じりで「スカウトをやろうよ」と声をかけられていたんです。私も冗談交じりに「いや、野球を見るのが苦手なので」と返していたんですが、正式にスカウトとなるなんて……。“まさか”と驚きましたし、当時45歳という年齢で新たな仕事に就く不安も大きかったのが正直なところでした。
不安を取り除くには行動あるのみです。まずは高校、大学、社会人チームへとあいさつ回り。私自身の顔と名前を覚えてもらうことから始まり、コミュニケーションを図れるように足を運ぶチームの監督さんの経歴などを調べることも忘れませんでした。ただ・・・
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