黄金期を構築したと言っていいだろう。2021年に四半世紀ぶりにリーグ優勝を遂げたオリックスが、昨季、そして今季もパの頂点に立って3連覇を遂げた。ただ、主要メンバーを見てみると、3年間の顔ぶれは異なるもの。固定なき布陣で戦い続けて示した“強さ”を支えたものは何か──。進化と変化を遂げてきたチームの戦いぶりをひも解く。 9月20日の京セラドームで5度宙を舞った。
中嶋聡監督がナインの手で胴上げされるのは、今年で3年連続のことだ。だが、昨季までと大きく異なることが2つある。
1つは、マジック点灯だ。一昨年の2021年は全日程終了2日後に無観客の京セラドームで
ロッテの敗戦後、連覇を遂げた昨季は敵地・仙台で最終戦の勝利後に千葉で戦う
ソフトバンクが敗戦後にV決定と、過去2年はマジックが未点灯のままでの優勝だった。
そして、もう1つがファンに胴上げを見せることだ。前述のように一昨年は無観客、昨季は敵地で胴上げだったため、勝利と同時の本拠地Vは、1996年以来、実に27年ぶりの歓喜の瞬間だった。
至福の歓喜の時──。詰めかけた3万5619人の観衆とともに過ごす至福の時は、長いシーズンを勝ち抜いた最高のご褒美だ。それは、着実に一歩ずつ、全員で歩んできた道の先にあったゴール。大崩れすることなく貯金を積み重ね、優勝時点で2位・ロッテと14.5ゲーム差をつける独走Vは、ブレない心が実を結んだものだ。
「ゲーム差とかは関係なく、自分たちの内容を追求してきた」(中嶋監督)
そんなチームだからこそ、重圧を跳ね返すことができた。
「地元で決める」の強い思い──。マジック4で迎えた9月19日からの2位・ロッテとの直接対決2連戦。19日の第1戦を3対2で勝利すると、指揮官は「マジック1のようなもの。勝って決めたい」と総意を口にした。仮に20日に敗れると、次戦は2日空いて、23日の敵地・福岡でのソフト森バンク戦。地元Vへの闘志は、20日の試合展開に色濃く表れる。
3回表に先制点を献上し、5回に2点目を与えて重苦しいムードが漂う中で、7回裏二死から6安打を集中させて6得点。「奇跡のようなつながり方。あそこまで連打が出るとは」と指揮官も驚く鮮やかな逆転勝ち(6対2)。地鳴りのような大声援がこだまする中で、地元で優勝を決めてみせた。興奮が冷めやらぬ中、中嶋監督はファンの前で思いを明かす。
「なんとかここで胴上げしたいと思っていたので、本当にうれしいです」
黄金期を印象付ける3連覇。パ・リーグでの3連覇は、1990~94年に5連覇を遂げた
西武以来で21世紀では初のこと。ただし・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン