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【MLB】抜け目ないブレーブス 3年間で2度目の世界一に向け視界良好

 

一番打者として好調なブレーブスをけん引するアクーニャ・ジュニア。前半戦60勝29敗という驚異的な勝率の立役者でもある


 ブレーブスが好調だ。前半戦は60勝29敗でMLB全体1位、得失点差+147はナ・リーグ1位だった。昨季、サイ・ヤング賞投票で2位だった左腕マックス・フリードと20勝したカイル・ライトがケガで長期離脱しているのに、残された選手が穴を埋めている。

 2021年、看板選手のロナルド・アクーニャ・ジュニアを膝のケガで失いながら世界一になったシーズンを彷ふつとさせる。今年の売りは攻撃力だ。不動の一番打者アクーニャ・ジュニアがけん引する。前半戦に打率.337、21本塁打、41盗塁、OPS(出塁率+長打率).990を残した一番打者だ。

 球団OBのトム・グラビンは「トップにロナルドがいるのは大きい。100万回言っているけど、彼のスピードとパワーで比較できるのはあのリッキー・ヘンダーソン(通算297本塁打、1406盗塁の殿堂入り選手)だけ」と話す。アクーニャ・ジュニアのあとに、マット・オルソン(29本塁打、72打点)、オースティン・ライリー(16本塁打、44打点)、オジー・アルビーズ(22本塁打、63打点)、ショーン・マーフィー(17本塁打、55打点)らが続く。

 チーム本塁打数169本は全体1位、出塁率は.339でレンジャーズに次いで2位、長打率は.492でトップだ。抜け目がないと思うのは、選手の給料が高くなってくるとトレードしてしまうアスレチックスから、オルソン、マーフィーをきっちり手に入れていること。

 29歳のオルソンは22年のシーズン前にトレードで獲得し、すぐに8年総額1億6800万ドルの契約延長。28歳のマーフィーも昨オフに獲得し、6年総額7300万ドルを与えた。

 2人ともゴールドグラブ賞に輝いたことがあり、守備もうまい。そろって今回のオールスターに出場した。選手の集め方でさらにうまいな、と感心するのは、三振が多くない打者を選んで獲得していること。チーム三振数は728個で30球団中7番目に少ない。

 塁に出たあと、みんながきっちりバットに当てるため、走者は次の塁に進み、得点の可能性が高まる。同じくOBのジョン・スモルツは「三振の多いチームはプレーオフでは勝てない。近年のアストロズはバットに当てられるから強かった。今季のブレーブスもそれができている」と説明する。この頼もしい打撃陣があるから、投手陣はゆとりを持って投げられる。

 グラビンも「この打線なら、4点以内に抑えれば勝つチャンスが出てくる。完璧でなくていい。投手がそう思えるのは大きい」と話す。現在、圧倒的なエースはいない。昨季、新人王投票2位のスペンサー・ストライダーは、9回あたり14.3奪三振と素晴らしいが防御率は3.44だ。ブライス・エルダーは7勝2敗、防御率2.97だが、球は速くなくゴロを打たせるタイプ。チャーリー・モートンは39歳になった。それでも投手陣の防御率は3.63で全体1位である。

 フリードは5月初旬に左前腕を痛めたが、最近マイナーの試合で投げ始めた。ポストシーズンをにらみ、慌てずにリハビリを進めていく。21年シーズンの世界一メンバーがいまだにたくさん残っていて、勝つために何をすれば良いかを心得ているのも頼もしいのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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