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【MLB】ドジャースのピンチを救った若手先発投手たち

 

開幕当初に見込んでいた先発陣が故障で離脱する中で、若手先発を起用。強力打線をバックに結果を残した。特にストーンは先発の軸になっており、投手陣の層は厚くなりそうだ


 山本由伸ウォーカー・ビューラー、ボビー・ミラーがケガで離脱している中、ドジャースの若手先発投手たちが踏ん張っている。7月23日のジャイアンツ戦ではランドン・ナック(2020年2巡指名、27歳)がマウンドに立ち、ジャイアンツ相手に5回1失点と好投、大谷翔平の2安打3打点の活躍もあり5対2の勝利をものにした。

 ナックの直球は93マイル平均と速くはないが、カーブ、スライダー、チェンジアップと組み合わせる。「4つの球種でストライクを取れるし、メジャーで長く投げ続けられることを証明したい」と、2安打2四球6奪三振のピッチングに胸を張った。今季ここまで9試合に登板し、2勝2敗、防御率3.07だ。

 ナックだけではない。後半の第1戦に先発、5回1失点だったギャビン・ストーン(20年5巡指名、25歳)は今季9勝3敗を挙げており、防御率3.19で新人王候補。後半2試合目先発の左腕ジャスティン・ロブレスキー(21年11巡指名、24歳)は平均95マイルの直球を武器に5回途中まで3安打無失点だった。4戦目はリバー・ライアン(21年11巡指名、25歳)がメジャー・デビュー、21年にパドレスが指名した二刀流選手で、22年にトレード、ドジャースでは投手専念となった。

 96.1マイルの直球を軸に6つの球種を操り、5回1/3で4安打1失点。降板時、本拠地のファンがスタンディングオベーションで好投を称えている。ドジャースではベテランのタイラー・グラスノーとクレイトン・カーショウが負傷者リストから復帰したが、現在6人ローテーションを採用しているため、ロブレスキーとライアンは、少なくとももう1回は先発の機会を与えられる見込み。

 ナックは「ずっと一緒にやってきた仲間が上で成功するのを見るのは楽しい。素晴らしい経験」と笑顔だった。デーブ・ロバーツ監督は「若い投手の難しいところは未知の部分や不安定さ。ストライクが投げられず、2回を乗り切れないこともあるが、この若手たちはしっかりストライクを投げ、貴重なイニングを提供してくれる。ブルペンに負担をかけることもなかった」と大喜びだった。

 そんな中、ドジャースはベテラン左腕のジェームス・パクストンを戦力外にした。11年目のベテランは、ここまでチーム最多の18試合に先発、21日もレッドソックス相手に5回3失点で勝ち投手、8勝2敗だった。しかしながら防御率は4.43で、首脳陣の信頼は高くない。

 ロバーツは「リバーとロブレスキーがいることで、今後の先発投手陣に自信を持っている」と説明した。とはいえ、新人たちはストーンを除けば、ポストシーズンの先発ローテーションに入るほどではない。だがリリーフでなら残れるかもしれない。ロバーツ監督は「すべてがテーブルの上にある」と説明している。

 ドジャースのブランドン・ゴメスGMは「うちはチーム状態が良いし、ケガをした選手が戻ればさらに良くなる。ただ7月30日のトレードデッドラインまでに先発投手をターゲットにしており、インパクトのある選手を狙う」と明かした。普通レベルなら、本来は若手に任せられるのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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