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【MLB】サラリーキャップ論争の行方 鍵を握るのは30球団の結束

 

MLBコミッショナーのロブ・マンフレッド[写真右]。30球団の金銭的な格差をなくすために、MLBの球団オーナーたちは、サラリーキャップの導入を求めているが、選手会は一貫して拒否。代替案のぜいたく税は、期待されたほど機能せず。収益源である放映権の減少していく中で、マンフレッドの次なる施策に注目だ


 このオフ、ドジャースの圧倒的な補強を受け、他球団のファンの間でサラリーキャップ導入を求める声が高まっている。アメリカ移籍情報サイト「トレードルーマーズ」が実施した読者調査に参加した3万6000人のうち、約3分の2が導入に賛成した。

 ドジャースの2025年度の総年俸はすでに3億7000万ドルに達し、ぜいたく税の支払いも1億ドルを超える見込み。これほどの支出をしながら黒字を維持できる球団は、ほかにヤンキースなど一握りしかないだろう。

 1年前に球団を買収したオリオールズのデービッド・ルーベンスタインオーナーは先日、「ほかのスポーツと同様に、野球もキャップを導入すべきだ」と語った。オリオールズの昨季の総年俸は1億900万ドルで、30球団中22位。今オフ、タイラー・オニール外野手と3年総額4950万ドル、菅野智之投手と1年1300万ドルの契約を結ぶなど補強を進めた。これにより、25年開幕時点での予想総年俸は1億5600万ドルとなり、15位に上昇。それでも金額はドジャースの半分以下にとどまる。

 MLBのオーナーたちは長年にわたりサラリーキャップの導入を求めてきた。一方、選手会は年俸の上昇を抑える仕組みだとして一貫して拒否。この対立が原因で1994年にストライキが発生し、同年のワールド・シリーズは中止となった。その代替策としてのちにぜいたく税制度が導入されたが、戦力格差を解消するには不十分だ。現行の労使協定は2026年12月2日に失効する。オーナーたちは、27年シーズンが一部または全面的に中止されるリスクを負ってでもサラリーキャップの導入を押し通す覚悟があるのか。

 一方、選手会のトニー・クラーク専務理事は「同意しない」と断言している。サラリーキャップ導入の鍵を握るのは、オーナーたちが団結できるかどうかだ。現在、MLBの収益構造は大きな転換期を迎えている。長年、球団収入の柱だった地元ケーブルTV局からの放映権料が減少しており、その背景にはアメリカ全土でケーブルTV契約を解約する世帯の増加がある。25年末までに、リーグ全30球団のうち3分の2が放映権料の削減を余儀なくされる見込みだ。

 一方、ドジャースは13年に締結した25年総額83.5億ドルの長期契約に守られており、ヤンキースもYESネットワークとの契約が42年まで続く。この格差を是正するため、ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは、これまで各球団に委ねていた地域放映権をMLB機構に移管し、ストリーミング企業を含む各媒体に全米放映権として販売する計画を持っている。

 プロバスケットボールのNBAは昨年、ESPN、NBC、Amazonと11年総額760億ドルの巨額契約を結んだが、MLBも現行の全米放映権契約が28年に終了するのを機に、これを主力の収益源としたい考えだ。スモールマーケットの球団にとっては歓迎すべき方針だが、ビッグマーケットの球団が簡単に同意するとは思えない。

 マンフレッド・コミッショナーは前回の労使協定締結後、経済改革委員会を設立し協議を重ねてきた。選手会にサラリーキャップ導入を求める前に、まずは30球団がTV収益の再分配について合意できるかが課題となる。果たしてオーナーたちが結束できる妙案は生まれるのか。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

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