週刊ベースボールONLINE

MLB最新事情

【MLB】ドジャース・マンシーは「打つだけ」の男ではない 数字が証明する三塁守備の進化

 

今季はリーグ屈指の守備でチームの勝利に貢献しているマンシー。年齢による衰えもある中、自身の守備での短所を補い、数字で結果を残している


「守備は得意ではないが打撃で取り返す内野手」。ドジャースのマックス・マンシー、35歳に対して、多くのファンが抱いてきた印象ではないだろうか。長打力と四球を選ぶ打撃は一流。しかし一塁、二塁、三塁などの守備は平均程度、あるいは少し物足りない。そんな評価が長く続いてきた。

 ところが、2026年のマンシーは違う。通算3度目のオールスター選出は打撃だけが理由ではない。守備もまた、リーグ有数のレベルへと進化している。それを最もよく示しているのが、ベースボールサーバントの守備指標「Outs Above Average(OAA)」だ。平均的な三塁手なら捕れない打球を何個多くアウトにしたかを示す数字で、マンシーは今季ここまで+6でパドレスのマニー・マチャドと三塁手部門で最多タイで並んでいる(現地時間7月5日時点)。さらに「Fielding Run Value(守備得点価値)」も+5。守備によってチームの失点をどれだけ防いだかを示す指標で、こちらもトップの評価を受けている。

 興味深いのは、なぜ長年マイナス評価だったマンシーがいきなりプラスに転じたかだ。データを詳しく見ると、送球による貢献度はほぼ平均で、送球速度も平均82.3マイルで昨年の84.2マイルよりもむしろ下がっている。一方でFielding Run Valueの内訳で、「Range(守備範囲)」だけで+4を記録している。つまり、一歩目の反応や打球判断が向上し、以前なら抜けていた打球をアウトに変えられるようになったのである。

 もう一つ面白いデータがある。マンシーは22年にフレディ・フリーマンが移籍してきたことで一塁から三塁へ本格転向したが、首脳陣は23年ごろから三塁の守備位置を約2メートル後方に下げた。それによりすぐに守備指標が改善したわけではない。数字が大きく改善したのは今年。つまり、そのポジショニングを生かすためのフットワークや打球判断、一歩目のスタートが向上した。

 本人は「以前は真正面の打球が一番苦手だった。足が止まって悪いバウンドを受けやすかった。でも今は違う」とロサンゼルスの地元記者に説明している。加えて、ケガがないのも大きい。24年は腹斜筋痛と肋骨のずれにより、わずか73試合の出場、25年は左膝の骨挫傷と腹斜筋痛で8週間以上IL(故障者リスト)入り、100試合の出場にとどまった。今季は体の状態が万全で、本人も守備の好成績について「正直に言えば、健康だというだけなんだ」と語っている。

 結果、OAAのデータで見ると、前進して処理する打球が+4、三遊間寄りが+2(三塁線は-1)となっている。ドジャースの内野手はご存じのように30代が多い。野球界の一般的な考え方では選手の守備力は年齢とともに低下する。

 しかしムーキー・ベッツ(33歳)もフリーマン(36歳)もミゲル・ロハス(37歳)もマンシーも試合開始5時間前にフィールドに出てきて、個人練習で技術を高めている。とはいえ、だらだらと長い練習はしない。マンシーは「昔は1時間ノックを受け、1時間投げ込み、その後何時間も打撃練習をしていた。手が血だらけになるまでね。でもそれは健康を維持する方法じゃなかった」と言う。

 35歳のマンシーは、準備と休養のバランスも見つけ、万全の状態でフィールドに立ち続けているのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
MLB最新事情

MLB最新事情

メジャーから発信! プロフェッショナル・アイデアの考察[文=奥田秀樹]

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング